第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
でもさ、HIMEは僕なんだよ?
だったらさ…
「サインなら、僕するよ?」
仮にサイン入りじゃなかったとしても、僕がすれば問題ないんじゃないかな…って思ったんだけど、翔くんはそうじゃなかったみたいで(笑)
「ダメだよ、それじゃ意味無いし…」
そう…なの?
僕的には何が違うのかよく分かんないんだけど…
「それにさ、今はもうHIMEちゃんじゃないでしょ?」
「あ…」
そっか…、僕はもう“HIME”じゃないんだっけ…
「智くんは“智くん”だからさ…。HIMEちゃんとは違うから…」
うん、そうだね。
翔くんの言う通りだ。
HIMEはもういないんだよね?
「じゃあさ、僕も一緒にお祈りする!」
「え、智くんが? 何で(笑)」
「だって、サイン入りだったら翔くん嬉しいんでしょ?」
「そりゃ…、まあ…」
ふふ、だから分かりやす過ぎだってば(笑)
表情に全部出ちゃってるよ?
「翔くんが嬉しいと、僕も嬉しいから、だから僕も一緒にお祈りするの♪」
僕はテーブルに置いたポストカードに向かって、しっかり両手を合わせて目を閉じた。
「サインが入ってますように!」って♪
「ほら、翔くんも早くお祈りして?」
二人で願えば、叶わないと思ったことでも、もしかしたら叶うかもしんないから…
「う、うん!」
僕の隣で、翔くんもポストカードに向かって手を合わせる。
もぉ…、そんな真剣なお顔しちゃってさ、僕…ちょっぴり妬けちゃう。
「じゃあ…、開けるよ?」
「うん…」
翔くんがポストカードに手をかける。
その時、僕達の喉が同時にゴクリと鳴った。
「あー、超緊張するんだけど…」
「うん…」
ってゆーか、どうして僕まで緊張してんだろ?
妙にドキドキしちゃう(笑)
「せーの…」
翔くんが掛け声をかけて、ポストカードをひっくり返した。