第34章 scene6:HIMEは君の中にずーっといるよ♡
手に持った茶封筒を軽く振ってみる。
するとからカラッと音がして…
「中身、何なの?」
「んと、もしかして…だけど、DVDかも」
「DVDって…、あ、もしかして?」
「うん…」
僕は茶封筒の封切り、中身を取り出した。
丁寧ににクッション素材で保護されたそれは、僕が予想した通りDVDで…
「ねぇ、これって発売されたばっかの…だよね?」
「う、うん…」
「それも、HIMEちゃん引退記念スペシャルパッケージじゃん!」
「う、うん…」
ってゆーか、翔くん目輝かせ過ぎ(笑)
まあ分からなくもないけどね?
スペシャルパッケージ版は、流石にスペシャルってゆーだけあって枚数限定販売みたいで、勿論翔くんはしっかりチェックしてたんだけど、僕を追いかけて実家まで来ちゃったせいで、すっかり買いそびれてしまったんだって(笑)
だから翔くんが目をキラッキラに輝かせて、ついでにシッポまでフリフリしちゃうのも無理はない。
「開けて…みる?」
「え、い、いいの?」
ふふ、本当に分かりやすい(笑)
「うん。だって見たいんでしょ?」
僕もハッキリとは聞いてないけど、中には特典としてポストカードと、イメージ映像ばかりを集めたDVDが入ってるらしいから、そりゃ翔くんの目だって輝く筈だよね(笑)
僕はフィルムをピッと剥がすと、DVDのバッケージをパカッと開けた。
すると、勢い余って飛び出した特典のポストカードが、翔くんのお膝の上にヒラっと落ちた。
裏っ返しに落ちたポストカードを、翔くんは両手で手に取り、テーブルの上にソーッと置いた。
裏っ返しのままで。
「ねぇ、何してんの?」
「何って…、祈ってるんだよ。見てわかんない?」
うん、分かんないから聞いてるんだけど?(笑)
「なんかさ、何枚かに一枚、HIMEちゃんの直筆サイン入りポストカードが入ってるらしくてさ…」
あ、言われてみれば、確かにサイン書いたかも…
え、まさかサイン入りポスターカードが欲しくて、祈ってる…とか?