第33章 scene6:君だけのHIME…にして?
って思ったけど、前言撤回♪
だってさ、翔くんが優しいんだもん♡
あ、勿論いつも優しいんだけどね?
でもいつも以上に優しいってゆーか…、とにかく優しくて…
「どう、起きれる?」って聞かれて、僕が首を横に振ると、そーっと抱き起こしてくれたり…
「持てる?」って差し出しされたグラスにも、僕が首を横に振ったら、ちゃんと口元までグラスを運んでくれて、口元が濡れたら指で拭ってくれて…
「どう? 少しはスッキリした?」
なんて聞いてくれてさ…
きっと、翔くんからしたら大したことじゃなくて、普通のことなんだと思う。
でも、その“普通の優しさ”が、僕はとっても嬉しい。
だって“普通”って、簡単そうに見えて、案外難しいんだもん。
「あの…さ、それ…」
翔くんがベッドの端っこに腰を下ろしながら、僕の左手を指差す。
「指輪のこと…?」
「うん。智くんは玩具でも良いって言ってくれたけどさ、俺的にはやっぱりちゃんとした物贈りたい…っつーかさ…」
「うん…」
「でも今はまだ学生の身だし、バイトも辞めちゃって、就職すら決まってないし、それから…」
それから…、何?
「相葉さんや潤兄ぃみたいに、大人じゃないし、まだガキだし、超ヘタレなとこあって、全然男らしくないし、だから…さ…」
「ううん、翔くんは全然ガキでもないよ? それに男らしくないなんて…、そんなことないよ?」
僕が言うと、翔くんは“でも”って言いかけて僕からお顔を背けてしまった。
だから僕は翔くんのお顔を両手で挟むと、無理矢理僕の方を向かせて、強引にキスをした。
「さ、智くん…」
「あのね、僕はね、別に男らしくなくたって良いし、ヘタレだって全然気にしないよ?」
今のままの翔くんが好きなの。
「でもね、もしも…ね? 何年か経って、それでもまだ僕達が今みたいな関係でいられたら、その時は…ダイヤモンドとかお強請りしても良い?」
ま、実際僕は宝石とかには興味ないんだけどね(笑)