第32章 scene6:僕はHIME…
せっかくのメイクを落とすのが勿体無くて、僕は着てきた服とは別の、お気に入りのワンピースを身に付けた。
ストッキングは、破れやすいし、何かと気を使わなきゃいけないから、白いニーハイに履き替えた。
ゴムの部分がフリルたっぷりで、とっても可愛いの♡
「ね、斗子さんもご飯行くでしょ?」
「え、私? 私は…遠慮しておくわ」
「え、何で? いいじゃん、行こうよ…」
「でも私なんかが行ったらお邪魔じゃない?」
ううん、そんなことない。
「僕、斗子さんも一緒が良い」
「でも智也が何て言うか…」
あ、そっか…
僕、長瀬さんの存在すっかり忘れてたよ…←失礼だな、オイ!
「じゃあ、長瀬さんが良いって言ったら、斗子さんも来てくれる?」
「え、ええ、そうね…」
「僕聞いて来る」
“善は急げ”だよね。
僕は靴を履くのも忘れて控え室を飛び出すと、お庭の片隅てタバコを吸っていた長瀬さんを捕まえた。
靴も履かずにお庭に飛び出した僕を見て、長瀬さんは一瞬驚いたお顔をしてたけど、理由を話したら、少し考えてから、
「好きにしろ」って一言だけ言って、またタバコを口に咥えた。
ってゆーか…
「ねぇ、長瀬さんも行くんだよ?」
「は? 何で俺が…」
「当たり前でしょ? 斗子さんを一人にさせるつもり?」
「それは…」
もお…、本当に素直じゃないんだから(笑)
「決まりね? 長瀬さんも一緒ね?」
こーゆー素直じゃない人は、少々強引にいかないとね♪
ふふ、僕もちょっぴり賢くなったでしょ?
「あ、そうだ…、せっかくだから城島さんも誘っといて?」
「は? 俺が? 何で…って、おい、ちょっと待て…」
長瀬さんはまだ何か言いたげだったけど、僕は聞こえないフリをした。
だって、靴下汚れちゃうの嫌なんだもん…