第32章 scene6:僕はHIME…
「お疲れ様」
全てのイベント(?)が終わり、斗子さんとNINOに手伝って貰いながら、ちょっぴり窮屈に感じ始めたウェディングドレスを脱ぐと、解放感からか、僕のお腹がキュルッと鳴った。
ずっと緊張してたから気にならなかったけと、どうやらお腹が空いたみたいだ(笑)
僕はパンティとブラジャーだけの格好で持って着たバッグを漁ると、朝時間がなくて食べ損ねたカレーパンを取り出した。
ペリッとビニールを破り、一口噛じると、カレーのほんのりスパイシーな香りがお口の中に広がって、
「んふ、おいちぃ♡」
幸せな気分になる。
でもさ、この一口が余計に満腹中枢刺激しちゃうんだよね…
止まんなくなっちゃうんだもん。
カレーパンなんてさ、キスした時に絶対臭うからって、買ってはみたものの、食べるのは諦めたのにさ…
でも美味しいんだもん、仕方ないよね♪
僕は床にペタンとお尻を着いて、無心でカレーパンを頬張った。
そして、あと一口…って時、控え室のドアが開いて、お着替えを済ませた翔くんと相葉さん、それから松本さんがゾロゾロと控え室の中に入って来た。
え、ってゆーか、僕…まだ下着のままじゃん!
しかもお口の周り、パンの粉だらけだし…
え、どうしたら良いの?
こんな格好で、カレーパン頬張ってる姿なんて、めっちゃ恥ずかしいじゃん!
僕は咄嗟にバッグで身体を隠したけど、そんなんで隠れるわけないよね…
「さ、さ、さ、智くん…?」
僕の存在に気付いた翔くんが、上擦った声を上げた。
「あ、あの、これはその…、なんてゆーか…」
ああ〜ん、もお…、タイミング悪すぎ!
ってゆーか、僕のお腹のバカ…
「ウェディングドレス脱いだ途端、気が抜けちゃったみたいね(笑)」
「そうそう、それでお腹空いちゃったんだよね?」
斗子さんとNINOがその場を取り繕ってくれようとするけど、翔くん始め相葉さんも松本さんも、視線は僕の身体で…
ああ〜ん、もお…、どうしたら良いの?