• テキストサイズ

H・I・M・E ーactressー【気象系BL】

第32章 scene6:僕はHIME…


自分で決めたことだし、あれから随分経ってるから、もうすっかり済んだこと思っていたのに、似たようなシチュエーションの場に立った途端、怖くなっちゃうなんて…

手だって、ブーケを落としてしまいそうに震えてるし…

今までこんなこと、一度もなかったのに…

え、これってトラウマってこと?

僕が泣きそうになっていると、翔くんが僕の手をそっと握ってくれて、バージンロードはまだまだ続くのに、僕のことを抱きしめてくれた。

「大丈夫、俺がついてるから安心して?」

「翔…くん…が?」

「智くんが想像してるようなことは、絶対に無いし、もし…、もしもだよ、あったとして、その時は俺が全力で守るから…」

「本当…に?」

翔くんが僕を守ってくれるの?
僕よりビビリだし、僕よりも運動神経弱そうなのに?

「うん、俺が守る。なんだって俺、智くんの彼氏だからさ」

そう言って翔くんは自分の胸を、拳でトンと叩いた。

ふふ、そうだよね、翔くんは僕の彼氏だもんね?

いざとなったらきっと、翔くんが僕を守ってくれるよね?

「だから怖くないよ?」

「うん」

翔くんとなら、僕…、もう何も怖くないよ。

それに斗子さんが造ってくれた花冠には、僕達が永遠に幸せでいられるように、って願いも込められてるんだもん。

こんなことで怖がってたら、せっかくの幸せも逃げて行ってしまう。

僕は翔くんの胸に埋めていたお顔をパッと上げると、得意の“HIMEスマイル”ではなく、“智”として出来る最高の笑顔を向けた。

そして、いつの間にか解けてしまった腕をもう一度組み直すと、今度は僕の方から“せーの”の合図を送った。

そしてらさ、翔くんたら(笑)

「え、ちょ、ちょっと待って? どっちの足だったっけ?」

なんて言いながら、左足を出すんだもん。

僕、思わず翔くんの足を踏んづけてしまいそうになったじゃん…

ってゆーか、“右足からね”って言ったのは、他でもない翔くんなんだからね?
/ 753ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp