第31章 日常16:僕の彼氏を紹介します
なのにさ、僕のそんな思いも粉々に砕くように、
「ごめん…、送っちゃったわ…」
なんてさ…シレッと言うもんだから、僕のお顔は赤を通り越して青くなる。
「送ったって…、いつどこで? 誰に何を…?」
おかげで、まるで小学生の作文みたいな質問を投げかけてしまう僕…
いや、聞かなくたって予想は出来てるよ?
なんならさっき僕のスマホも、遠くの方ではあったけど、リュックの中でピコンて音がしたから…
でもさ“でも”だよ?
僕は(良くないけど…)良いよ?
自分の裸なんて見慣れてるし、声だって…当然聞き慣れてるから…
違うのは、そこに映ってるのが、“HIME”の姿をした僕
じゃなくて、“智”の姿をした僕…ってことだけなんだけどさ、それが大問題なんだよ…
翔くんのことだから、きっとそんなことはないって思ってるけど、比べられちゃったりしたらさ…、やっぱりHIMEの方が良いなんて思われちゃったらさ、僕悲しいもん。
「ねぇ、それって取り消せないの?」
「出来なくもないけど、もう手遅れ…かな。もう既読付いちゃったし」
え、嘘…
じゃあ翔くんも見ちゃった…ってこと?
「そんなぁ…」
僕がガックリと肩を落とすと、
「ねぇ、何がそんなに気になるの?」
和が缶に残っていたビールを一気に飲み干し、眉間に深ーい皺を寄せて僕を見る。
ってゆーか…、怒って…る?
「これを見たからって、翔くんが智のこと嫌いになるとか、そんなこと思ってる?」
「それは…、でもさ、翔くんは元々HIMEが好きだったわけだからさ…」
どうしたって比べちゃうと思うんだ。
翔くんは僕がHIMEだから好きになったわけじゃないって、ちゃんと言ってくれたし、勿論その言葉に噓はないって信じてるけど…
でもさ…