第31章 日常16:僕の彼氏を紹介します
時折バランスを崩しながら、それでも何とか落っことされることなくバスルームへと辿り着いた僕は、和に抱っこされたまま湯船に浸かった。
「ごめんね、ちょっと触るね?」
一言断りを入れてから、和が僕の後ろに指を触れる。
流石にピンクボトルの効果は切れてるけど、やっぱり触れることに身体が反応してしまう。
おかげで、朦朧としていた僕の意識も、徐々に通常モードへと戻り始め…
「なんか…、ごめんね? こんなことになっちゃって…」
僕の中から翔くんの吐き出したミルクを掻き出しながら、和が肩越しに申し訳なさそうに言うから、僕は”気にしないで”って言葉で伝える代わりに、首を横に振って応えた。
「でもさ、元々は私が智をほったらかして買い物なんかに行ったから…じゃん?」
確かにそれはそうかも…
和が僕を一人ぼっちにしなければ、僕がお股丸出し状態で翔くんとバッタリすることも、相葉さんに覗かれることもなかったわけだし…
でもさ、そんなことで和を恨んだりしないもん。
あ、でもどうしよう…
「ねぇ、お股の毛…、剃り剃り出来なかった…ね?」
僕が言うと、和は僕の中から指を引き抜いてから、”ちょっと待ってて”と言って僕から離れた。
そして脱衣所に出て、洗面所の所でガサゴソを始めたかと思うと、真新しいカミソリと、シェービングフォームを手に戻ってきて、僕をバスタブの縁に座らせた。
え、まさかここで…?
「本当はさ、ちゃんとベッドの上で剃った方が綺麗に剃れるんだけど、ほら…盛りのついた狼が二頭いるじゃない?」
え、それってもしかして相葉さんと翔くんのこと?
ふふ、確かに間違いはないけど、翔くんはどっちかってゆーと、リスっぽく僕には見えるんだけど…
だって僕の息子くんをハムハムしてる時の翔くん、リスがお口の中にいーっぱい餌を溜め込んでる時みたいじゃない?(笑)