第31章 日常16:僕の彼氏を紹介します
「え、しょ、翔くん…、お約束…は?」
「言ったでしょ、約束は破るためにあるんだ、って…」
身体の向きを変え、僕の放った熱で汚れた口元を拭いながら、翔くんがニヤリと笑う。
「で、でも…」
ウェディングドレス着るために我慢してたのに、無駄になっちゃうよ?
それでも良いの?
「痕は付けないようにするから…、ね?」
翔くんはそう言うけど、絶対付けるに決まってんじゃん?
現に、さっきから僕のおっぱいの周り、ずーっとちゅぱちゅぱしてるしね?
はあ…、こんなこともあろうかと、胸のあんまり空いてないドレス頼んどいて良かったよ…
「一回だけ…だよ?」
それ以上は、僕の腰がドレスの重みに耐えられなくなっちゃうから。
「本当に? マジで良いの?」
「うん…、だってこのままじゃ、翔くん辛いでしょ?」
勿論、僕も…なんだけどさ…
「だから…、一回だけなら…」
「智くん…」
少し掠れた声で名前を呼ばれて、「うん」と頷いた僕の唇に、翔くんの唇が重なる。
僕はほんのちょっとだけ隙間を開け、翔くんの舌が僕のお口に入って来やすいように待つ。
すると、クスリと笑った翔くんが、何の迷いもなく僕のお口の中に舌先を突き入れ、上顎から下顎まで、僕のお口の中を余すところなく舐め…
「ふ…、ふぁ…っ…、ん…」
重ねた唇の端から零れる吐息まで吸い取ってしまう勢いで、僕の舌をチューッと強く吸った。
ああ…、やっぱり翔くんとのキス、凄く気持ちいい…
ってゆーか翔くん…、どんどんキスが上手くなってってる気がするのは、僕の気のせい…なんかじゃないよね?
ふふ、僕負けそうだよ(笑)
ずっとキスしていたいくらい、僕は翔くんとのキスが好き。
でも…、さすがにちょっと息が苦しくなって来て…
僕は翔くんの胸をトンと叩いた。