第31章 日常16:僕の彼氏を紹介します
不気味な視線の正体に気付いた僕は、咄嗟にクッションで翔くんのお尻を隠した。
だって僕のお尻はさ、皆見たことあるし、なんならお触りだってしたことあるけど、翔くんのは違うじゃん?
僕だけの物だもん。
他の人に見せるとか、ましてや“オカズ”になんてされたらたまんないもん。
でもさ、手遅れだったみたいで…
「なーんだ、見つかっちゃったかぁ(笑)」
てへっ、とばかりに舌をペロッと出して肩を竦める相葉さん。
てゆーか“てへっ”じゃないし!
「何してんですか、そんな所で…」
「何って…そりゃ、覗き?」
「の、覗きって…、いつから…?」
相葉さんの存在に気付いた翔くんが、おたおたと床に落ちていたシャツで前を隠す。
けと…、ねぇ、それ僕のシャツ…
「え〜っと、剃り剃りがどうとかこうとか言ってたとこから…かな? あれ? もっと前だったかな?」
「マジか…」
「あ、もっと前だったかも。だって智の息子、超元気だったし♪」
嘘…、そんなとこまで見られてたの…?
あれほど“オカズ”にされたくないって思ってたのに、僕…ちょっぴりショック。
「だーってさ、和は買い物行ったきり帰ってこないし、翔くんはトイレに行くって言って部屋を出たきり戻ってこないしさ…、仕方ないじゃん?」
いやいや、仕方ないとかの問題?
相葉さんは、こう見えて寂しがり屋な面もあったりするから、皆いなくなって寂しくなっちゃったのかもしんないけどさ、だからって覗く?
しかもさ…、しっかり元気にしちゃってさ…
「と、と、とにかく、お着替えするから出てって下さい」
僕は翔くんのお尻をクッションで隠したまま、相葉さんを睨みつけた。
でもさ、流石相葉さんだよね?
僕の渾身の睨みも通じないみたいで…
「え、着替えちゃうの? 俺のことなんか気にせず、続けてくれて良いのに…」
って、モッコリとしたお股をスリスリと手で摩った。