第31章 日常16:僕の彼氏を紹介します
「ふーん、なるほどね? で、私にまた智の股の毛を剃れと…、そう言いたいわけ?」
「うん…」
やっぱり和は勘が良い。
全部言わなくても、ちゃんと僕の言いたいことを理解してくれるんだから。
「他の毛はさ、斗子さんに頼むことも出来るけど、お股はさすがに…」
今更恥ずかしがることでもないんだけどね?
なんたって斗子さんも、あの撮影現場にはいたわけだし、なんなら斗子さんのサロンでも僕、粗相しちゃったから…
でもさ、やっぱり抵抗があるんだよね…
「はあ…、仕方ないね…」
和が組んでいた手を解き、やれやれとばかりに肩を竦めた。
「で、いつなの?」
「え…?」
「だーから、いつウェディングドレス着るの?」
あ、なんだそーゆーこと?
「んとね…、それがね、翔くんが就活中なこともあって、急なんだけど明後日…」
そう…、僕は相変わらずのプー太郎さんだから、時間はたっぷりあるけど、絶賛就活中の翔くんはそうはいかなくて…
斗子さんに相談した結果、急遽明後日ってことになっちゃったんだけど…
「いくら何でも急…だよね…?」
人差し指を唇にビトッと当てて、上目遣いで和を見つめるけど、HIMEの姿じゃないからかな…、お得意のお強請りポーズも通用しなくて…
「そんな顔したってむーだ!」
あっさり拒否されてしまった。
そうだよね…
和にだって予定があるだろうし、特に相葉さんと揃ってお休みなんて、そうそうあることじゃないもんね…
無事お付き合いすることになったご報告のつもりでお邪魔したけど、それだってきっと二人にしたら、迷惑なことだったかもだよね…
「ごめん…、僕…、帰るね?」
僕はクッションを床に戻し、勢い良く腰を上げた。
貴重な二人の時間を、これ以上邪魔しちゃいけないもんね?
でも…
「えっ…、キャッ…」
僕が立ち上がったと同時に、履いていたハーフパンツが膝まで下ろされて…、ついでにパンツ(下着の方ね)まで下ろされちゃって…
僕は咄嗟に両手でお股を隠した。