第31章 日常16:僕の彼氏を紹介します
「あ、でね、和にお願いがあって…」
僕は相葉さんがコーヒーを入れに立ったのをきっかけに、和の隣に席を移動した。
「私に? 何?」
「あのね…、えと…」
スマホに視線を落とす翔くんをチラチラ見ながら、手と足をモジモジとさせた。
すると、そんな僕の様子に何かを察したのか、
「私の部屋行こうか?」
和が僕の手を引き、腰を上げた。
ふふ、和ってば相変わらず勘が良い♪
僕は迷うことなく「うん」と頷くと、翔くんにちょっと待っててとウィンクをしてから、和と一緒にリビングを出た。
「はい、どうぞ?」
和に手を引かれ、和のお部屋に入った僕は、床の上に転がっていたクッションを抱き、ベッドの端に腰を下ろした。
そしたらさ、思い出しちゃうんだよね…、和と相葉さんがイチャイチャしてる声を聞きながら、翔くんとお触りっ子をした時のことを…
だからかな…、僕のお顔、すっごく熱くて…(笑)
思わずクッションに顔を埋めた。
「で、私にお願いって何?」
あ、そうだった!
一人感慨にふけってる場合じゃなかった…
「あのね、翔くんがね、ツルツルが良いって…言うんだけどね…」
「ツルツルって…、まさかアソコの毛のこと…?」
「うん…」
僕的には、漸くチクチク期を抜けたところだし、本音を言えばこのままで…って思うんだけど、翔くんはそうじゃないみたいで…
「何でまた…?」
「なんかね、ウェディングドレス姿もそうなんだけど、ツルテカなのも見てないからって…」
どうやら、あの時は撮影に参加出来たことをラッキーって喜んだものの、いざ本番になってみたら、マスクは被せられるわ、ゴーグルは着けさせられるわ、その上僕は滅茶苦茶にされてるわで、全く楽しめなかったらしく…
多分相当根に持ってるんだと思う。
分かるけどね?
僕だってあの日のことは、今でも思い出す度悲しくなるし、もう二度とあんな思いはしたくないから…