第28章 日常13:夢なら醒めないで…
まさかこのタイミングで…なんてこと、ないよね?
だってだってだよ、これからシャワーも浴びて、そんで翔くんと…って思ってたとこだよ?
なのにさ、こんなことってある?
僕は”違いますように!”って願いを籠めながら、窓の外をそーっと見下ろした。
瞬間、僕の頭の中でまるでコントか何かのように、”チーン”と音が鳴ったような気がして…
「そんなぁ…」
僕はその場にペタンと尻餅を着いた。
「親父さん…、帰って来ちゃった?」
「うん…」
「そ…っか」
ベッドの上から僕を見下ろす翔くんも、心なしか残念そうなお顔をしている。
あーあ…、せっかく翔くんとあんなことやこんなこと出来ると思ったのにな…、チェッ…
「ま、ま、まあ…、仕方ないよ。今日は諦めよ?」
「そんなぁ…」
翔くんは(簡単ではないと思うけど…)諦めよって言うけどさ、僕はそんなわけにいかないじゃん?
だって僕の息子くん、随分ご無沙汰だったからかもしんないけど、めっちゃ期待しちゃってるよ?
これどうすんのさ…
「はぁ…」
元気になった息子くんを見下ろし肩を落とす僕。
すると不意に伸びてきた翔くんの手が僕の手を掴んで、
「俺も同じだから」
って、僕の手を翔くんの中心へと導いた。
え…、嘘…
そこは、しっかり…とまではいかなくても、僅かに硬くなっていて…
「俺も、智くんのここと同じだよ?」
「翔くんも…? 寂しい…の?」
「うん。めちゃんこ寂しがってる。でもさ、仮にセックス出来たとしてもさ、時間も気持の余裕もない中じゃ、お互いに満足の出来るセックスなんて出来ないんじゃないかな?」
それは…、そうだけどさ…
これまでずっと自分の気持ちを抑えてた分、ゆっくり、じっくり、たっぷり愛されたいよ?
それにさ、セックスの後の気怠さが残ったままの余韻…ってゆーのかな…、も楽しみたいしね?
ほら、今まではお仕事だったから、余韻なんて楽しむ間もなかったからさ…