第28章 日常13:夢なら醒めないで…
僕は翔くんの赤いお顔を引き寄せ、そっと瞼を閉じた。
キスして…って、全身で訴えながら。
すると翔くんのお鼻が僕のお鼻にコツンと当たって…、それからチュッ…て、翔くんの唇が僕の唇に触れた。
ってゆーか、もお…、僕が欲しいのは触れるだけのキスじゃなくて、もっとこう…情熱的な…
「んっ…、ふぁ…っ…、んんっ…」
そうそうそうなの、息が出来ないくらいの激しい、こんなキスが僕は欲しかったの。
僕は唇わ割って挿だて来た舌に自分の舌を絡めると、負けじと翔くんのお口の中に舌を突き入れた。
初めて直に感じる翔くんの体温に、まるで麻痺してしまったかのように指先が痺れて…、全身から力が抜けて行く。
なのに身体の中心だけはやけに熱くて…
こっそり膝を擦り合わせていると、唇を離した翔くんの目尻がこれでもかってくらい下がって、
「まだキスしかしてないけど?」
僕の耳元に囁きかけてくるから、僕は思わず視線を逸らしてしまう。
なのに、
「ちゃんと俺のこと見て?」ってさ、僕の耳たぶをカリッと噛むんだもん。
当然、
「あん…っ…」
僕の身体は跳ね上がるわけで…
もぉ…、意地悪なんだから…
あ、でもちょっと待って?
「ね、ねぇ、僕シャワー…」
日が落ちて多少涼しくなったと言っても、まだ外は暑いし、それになんたって昼間現場仕事でかいた汗だってそのままだし、埃だって被ってるし…
いくら何でもこの身体で好きな人に抱かれるなんて…さ、やっぱヤじゃん?
翔くんはさ、
「気にしないよ」って言ってくれるけど、僕的には…さ…
それに、綺麗にしとかなきゃな場所だってあるしね♡
「すぐ戻るから、ね?」
僕が言うと、翔くんはまるで駄々っ子みたいに唇を尖らせ、
「じゃあ…、もう一回キスしてからなら良いよ?」
って僕をギューって抱きしめた。
僕はキスに応えながら、翔くんの背中に両腕を回した。
その時、窓の外でキーッと自転車のブレーキをかけたような音がした。