第28章 日常13:夢なら醒めないで…
「あ、あ、あの、翔くんはどうして僕がここにいるって…?」
照れくさいのを隠すために、咄嗟に思いついたことを質問してみる。
すると翔くんは小さく息を吐き出してから、今度はベッドの端っこに腰を下ろし、両手を膝の上で組んだ。
「実は、連絡をくれたのはニノくんなんだ」
え…、和…が?
「智くんと連絡が取れないって…。智くんの番号知らないか、って…」
「あ…」
そっか…、和はHIME専用スマホの番号は知ってても、プライベートの番号は知らないわけだから、当然連絡の取りようがない。
「ただ、いくら相手がニノくんでも、勝手に教えるとかさ、やっぱ良くないかなって思ってさ…」
やっぱり真面目なんだね、翔くんて…
「それで、色々理由を聞いたら、お父さんが大変なことになってるって聞いて…、それで居ても立ってもいられなくて、潤兄ぃに頼んで連れて来て貰ったんだ」
そう…だったんだ?
そうだよね、そうじゃなかったら、翔くんがこんな所まで来れる筈がないもん。
仮に翔くんが自分で運転して車で来たとしても、あの運転ではとても不安だし、最悪ここまで辿り着けてないかもしれないし…(…って、ちょっと失礼?)
「俺さ、ずっと謝りたかったんだ」
「何…を…?」
「俺、智くんかHIMEちゃんだってこと、ずっと前から気付いてた」
「いつ…から…?」
本当は聞くのが怖かった。
でも、ちゃんと聞かなきゃって…
そんで、僕もちゃんと言わなきゃって…
だから、翔くんが次に何を言うのか、僕はじっと…身動き一つしないで待った。
「俺が熱…出した時あったでしょ?」
「うん…」
「あの時さ、俺もハッキリとは覚えてないんだけど、一緒に寝たじゃん? 俺のベッドで…」
「あ…、う、うん…」
確か、お見舞い行って、でも翔くんのご両親がお留守で、だからご飯の心配とかもあったから、あの日は翔くんのお家にお泊まりしたんだっけ…
ってゆーか、翔くんがジュースこぼしたせいじゃない?