第27章 日常12:僕、さよなら…、だよ
僕と翔くんがセックスしてない事が余程意外だったのか、松本さんは車を走らせながら、何度も首を傾げた。
だって翔くんは違うから…
お仕事でなら、誰とだって…ってことでもないけど、割り切ってしまえばセックスは出来る。
それがHIMEとしてのお仕事だったから。
でも翔くんはそーゆー人じゃないから…
ってゆーか、だいたい僕達付き合ってもないし、翔くんの気持ちだって(HIMEが好きってこと以外)確かめたことないのに、セックスなんて出来るわけないじゃん?
お仕事以外でセックスしようと思ったら、それなりにお互いの気持ちを確かめる必要はあるし、確かめ合わなきゃいけないって思うんだけど…
そうじゃないのかな…?
「そうか…、じゃあお前達はまだプラトニックな関係…ってことなんだな?」
プ、プ、プ、プラトニックって…!
松本さんて、いちいちキザってゆーか…、それが松本さんらしくはあるんだけど、なんだかこっちが照れちゃうようなこと、平気で口にするんだよな…(笑)
でもまあ…、松本さんの言うことも、当たらずとも遠からずって感じで…
「ま、まあ…、そーゆーことになる…のかな…」
僕が曖昧に返事を返すと、キリッとした眉毛が片方、ピクッと上がった。
「なんだ、その口調だと、“セックスはしてないけど、それに近い行為はあった”…って意味にも取れるが?」
うっ…、松本さん鋭い…
「えと…、その…、それは…、ひ、ひ、ひ、秘密です!」
だって、僕一人のことなら良いけど、僕と翔くんとの間に起きた出来事だから、いくら松本さんが翔くんの従兄弟さんだって言ったからって、やっぱり僕のお口から言うことじゃないと思うんだけど…
僕間違ってないよね?
「ふーん…、秘密ってことは、秘密にしなきゃいけないようなことが、二人の間にはあった、ってことだな?(笑)」
ううっ…、だから鋭過ぎるってばぁ、もぉ…