第26章 日常11:さよなら…言わなきゃだめ?
僕は小さく息を吐き出すと、ごちゃごちゃになった頭の中を整理しながら、一つ一つの答えを纏めて行く。
でも…
「なんか、上手く言えないんだけど…」
何一つ上手く纏めることが出来ない。
それでも、
「あの日、翔くんが現場に来ること、皆は知ってたの?」
ずっと気になっていて、でも聞けずにいたことを口にした。
二人は一瞬顔を見合わせてから、僕に向かって首を横に振った。
「知らなかった…ってこと?」
「うん、少なくとも私たちはどうかしているは知らなかった。だから智が倒れてるの見た時凄く驚いたし、どうしてそうなったのかも分からなかった」
「そう…なんだ?」
正直、あの時のことは僕も良く…ってゆーか、全く覚えていない。
ただ、僕が意識を飛ばす直前のことは、はっきりとではないし、凄くぼんやりとしているけど、多少は覚えている。
「俺も、和があんまり血相変えて俺のこと呼ぶから、何事かと思ったら智が倒れてて…、うわ言のように櫻井くんの名前呼んでてさ…、それで何となく知ったって言うか…」
やっぱりそうなんだ…?
でも良かった、二人が何も知らないでいてくれて。
だってさ、もし二人が翔くんが現場に来ること知ってて、その上で僕に黙っていたんだとしら、それはそれで寂し過ぎるもん。
勿論、二人が僕に隠し事をするような人とは、僕も思ってないけど…
「でも、じゃあ誰が…? 」
僕があの日あの場所で撮影することは、関係者以外知らない筈なのに、一体誰が…
「俺、思うんだけどさ…」
相葉さんが腕を組んで、うーんと唸りながら首を傾げる。
「一人しかいなくない? あの日、あの場所で撮影があるとこも、それが智がHIMEとしての最後の撮影になることも、櫻井くんのことも知ってたのって、どう考えたって一人しか思いつかないんだけど…」
どうおもう?、と和に同意を求める相葉さん。
すると和も、
「そう…だよね、一人しかいないよね… 」
相葉さんと同じように腕を組、納得したように頷いた。