第25章 scene5:チャペル

名前も、それからお顔も見えない相手とセックスすることが、こんなにも悲しくて、とても辛いことなんだって、始めて知った。

誰だか分かんない、複数の男に身体中を撫で回され、舐められ、中を掻き混ぜられ、嫌悪しているにも関わらず、反応してしまう自分の身体が恨めしくて堪らなかった。

目の前で松本さんに犯されている相葉さんが、漸く解放された手で僕の手を握ってくれて、たまにカメラには映り込まないように、僕に”あと少しの我慢だから”って微笑みかけてくれるけど、それすら何の役に立たないくらい、身体を乱暴に揺さぶられるその度に、僕の心が荒んで行くような気がして…

気付いたら、僕は僕の手を握ってくれている相葉さんの手に爪を立てていた。

それが、お口に特大サイズのモノが捻じ込まれ、言葉を発することも、呼吸をすることもままならない僕が出来る、唯一の抵抗だった。

そうでもなければ僕は…

｢コイツ、すげぇ感じてやがる…」

不意に息子くんを握り込まれ、それまででも十分高まっていた射精感が、更に増幅して行く。

出したい…、出したくないのに、出したくて堪らない…

なのにそれは許されなくて…

｢おっと、まだ出すんじゃねぇぞ？」

寸でのところで堰き止められてしまう。

苦しいのに…
こんなに苦しいのに、どうして…

僕は口の中の塊が抜け出すと同時に、男達から吐き出された体液に混じった唾液を、唇の端からポタポタと垂らしながら、乱暴に頭を振った。

綺麗にセットされていた筈の髪は、もう見る影もないくらいに乱れていて、汗と体液に塗れた肌にペタペタと張り付く。

もう嫌…
早く僕を解放して…

心でどんなに強く願っても、それが許されるわけもなく…

｢おら、上向け」

必死で踏ん張っていた両足首を掴まれ、まるで引き摺られるように身体がひっくり返され、再びお股が裂けるんじゃないかってくらいに、強引に両足を開かれた。