第24章 scene5:ツルテカな僕
両腕を組み、うんうんと頷きながら自分で自分を納得させていると、
「ほら、その顔だよ」
突然和に僕のお顔を指差されて…
へ?
”その顔”って、どのお顔?
呆気にとられるばかりの僕は、しきりに首を傾げることしか出来ない。
だって僕、しっかりメイクをして、ウィッグを被って…、完璧に”HIME”の状態になった時にしか、自分のお顔を色っぽいとか思ったことないもん。
寧ろ、スっびん状態の僕には、これぽっちも魅力を感じないのに…
やっぱり和の目がおかしくなってるんだ。
まあでも、僕のことを心配してくれてるのは分かるから、ここはもうお言葉に甘えて…ってことにしちゃおうかな♪
「じゃあ…、お願いしても良い?」
「勿論だよ。もう好きに使ってやってよ(笑)」
す、好きに…って…
流石に人様の恋人だし、僕が好き勝手に出来るわけもないんだけど、相葉さんだし…
何より、僕が一番信頼している“お姉ちゃん”の彼氏だもんね?
ちょっとくらいは…、なんて思ってしまう僕って、悪い子なのかな?
カラスの行水派の僕とちがって、長風呂派の相葉さんがお風呂から上がるのを待って、僕は和のマンションを後にした。
相当眠たかったのか、睡魔との戦いに呆気なく敗北した僕は、相葉さんの運転する車に揺られている間中、ずーっと眠っていたみたいで…
「着いたよ?」
肩を揺すられても、まだ眠りから覚めることが出来ず…
「起きないとキスしちゃうぞ〜?」
耳元に熱い息を吹きかけられて、漸く飛び起きた。
「も、もぉ…、何考えてるんですか…」
「だって眠れる森の美女は、王子様のキスで目を覚ますんだよ?」
「そ、それはそう…ですけど…」
ってゆーか、僕にとっての“王子様”は翔くんただ一人であって、申し訳ないけど相葉さんは、王子様候補の一人にも入ってないんだからね?
「あ、じゃあさ、送って上げたお礼にキス…ってのはどう?」
「は、はあ?」
ますます意味が分かんないんですけど?(笑)