第24章 scene5:ツルテカな僕
車に乗り込んだ僕は、早速スマホを手に、お姉ちゃんにメールを送った。
斗子さんと一緒に撮った、僕のウェディングドレス姿の写真も添えてね♪
「あ、長瀬さんもいる?」
「何が…」
「僕と斗子さんの写真、長瀬さんも欲しい?」
今ならもれなく“僕”ってゆーオマケも付いて来ちゃうけどね?
「はあ? 斗子一人の写真ならともかく、お前の写った写真なんかいらねぇよ…」
「ひっどぉ〜い…」
でもそうだよね?
オマケ付きの写真なんて、いらないよね(笑)
でもな…、この写真の斗子さん、すっご〜く綺麗なんだよね…
なんてゆーかさ、僕負けちゃってるくらい…ってことはないけど、とにかく綺麗な笑顔だからさ、長瀬さんにも持ってて欲しいな、って思っただけなんだけどね?
それにしても…
いつもなら五分と待たずに既読が付く筈なのに、どうしてだろ…全然付かない。
ひょっとして急用でも出来たとか?
だとしたらちゃんと連絡くれる筈だし、ましてや僕との約束を忘れてるってこともないだろうし…
どうしたんだろ…、何かあったのかな…
不信に思いながら首を傾げていると、車が大きなマンションの前で止まり、
「着いたぞ」
長瀬さんがサングラスを外し、フロントガラスから見える建物を見上げた。
「うん。ありがと…」
シートベルト外し、ドアを開けた僕は、着替えを入れた紙袋と、翔くんが買ってくれたスイーツの袋を手に、車を降りた。
「撮影も近い。あまり羽目を外すんじゃねぇぞ」
「分かってるよ…」
ってゆーか、信用ないなぁ、もぉ…
だいたい、ここに来たのだって、自分じゃツルテカに出来ないからだし、別に遊びに来たわけじゃないんだよ?
「じゃあ、また連絡する」
「はい、お疲れ様でした」
僕が頭をペコリと下げると、助手席の窓が閉まり、長瀬さんが外したサングラスを再びかけ…る途中で窓の動きがが止まり、
「あんま食いすぎんなよ?」
それだけを言うと、再び窓が動き始め、同時に車が走り出した。