第24章 scene5:ツルテカな僕
「こ、こ、これはダメよ…」
だってこの紙袋の中には、“智”のお洋服が入ってるんですもの…
何度か翔くんの前でも着たことのある物ばっかだから、こんなの見られたら、僕が智だってことがバレてしまう。
「でも重そうだし…、スーパー出るまで俺が持ってあげるよ」
優しいのね、翔くん。
でもごめんなさい、これだけは絶対ダメなの。
「大丈夫。見た目程重くないし、それにHIMEって案外力持ちなのよ?」
そう言って僕はパフスリーブから伸びた腕をガッツポーズの格好にして、翔くんに向かってウインクを一つした。
すると翔くんたら…
「ぷっ、ぷははっ(笑)」
突然お腹を抱えたかと思うと、目にいっぱい涙を貯めて笑い出して…
え、僕、何か変なこと言った?
でも…
「ふふ、ふふふふ(笑)」
どうして笑われてるのか分かんないけど、翔くんが笑ってくれるから、僕まで楽しくなってしまう。
「はあ〜、HIMEちゃんて本当面白いね?(笑)」
「そ、そうかしら…?」
「俺、益々HIMEちゃんのこと好きになっちゃったよ」
「え、ホント? ふふ、嬉しい♡」
…って、翔くんにHIMEスマイルを向けながら、心の中はちょっぴり寂しかったりする。
HIMEはもう一人の“僕”でもあるわけだから、HIMEのことが好きって言われるのは嬉しいよ?
でもさ、やっぱり…って思っちゃうのは、僕が欲張りで、我儘だからなのかな?
頭ではちゃんと分かってるんだけどね?
翔くんが“HIME”を好きな気持ちが恋愛感情じゃなくて、純粋にアイドルを応援する気持ちと同じなんだ、って。
それでも僕がHIMEに嫉妬してしまうのは、僕が翔くんのことを好き過ぎるからなんだ。
だって最近の僕、何をしていても…、例えば夜寝ている時も、ずっと翔くんのことばっか考えてるんだもん。
それくらい翔くんが好き♡
おかげでココ最近、僕の朝は大変なんだけどね?←なんの事だか分かるでしょ?(笑)