第22章 日常10:僕、決めた!
急に黙り込んだ僕を見て、和が「やっぱり気になる?」って、ストローから離せずにいる僕の指をトンと叩いた。
「うん…」
気になるか気にならないか…って言ったら、やっぱりどうしても気になっちゃうんだよね…、翔くんが童貞だったことが…
「でもさ、キスの経験はあるって言ってたんでしょ?」
「一応…ね? でもさ、その先は(翔くんがどこまで経験済みかは知らないけど…)ほぼ未経験なわけじゃん? なのに僕みたいなのが…って考えるとさ…」
僕達はまだ“お友達”で、これからどんな関係になって行くのかは…正直分かんないけど、もし僕達が所謂“恋人”って呼べる関係になったとして、初めての相手が僕みたいにAV出演経験有りな子じゃ、ちょっと申し訳ないような気がしちゃうんだよね…
「でもさ、それって関係なくない?」
「そお…?」
「だって考えてみてもご覧なさいよ。お互い二十歳超えてて、未経験同士って方がよっぽどおかしいと思うけど?」
そりゃそうだけども…
でも僕の場合、普通に経験豊富ってのとは、ちょっと意味が違う。
「そりゃね、智が悩む気持ちは分かるわよ? 私だってアイツと付き合う前はそれなりに悩んだからさ…」
「そう…だよね…」
ってゆーか、和ってばさっきから口調がどんどんNINOになってる気がするんだけど…、気のせい?
「因みに…なんだけど、彼、不能ってわけじゃないわよね?」
「ブッ…!」
いきなりとんでもないことを言い出すから、僕は思わず口に含んでいたアイスティーを吹き出してしまった。
だってさ、だってさ…、ふ、ふ、ふ、不能…って…!
流石の僕もビックリ…ってゆーか、呆然ってゆーか…
なのに言った本人は全然気にしてない様子で、
「あーあ、もぉ…、しょうがない子ね…(笑)」
なんて言いながらテーブルの上を拭いている。
はあ…、僕、相談する相手間違えたかも…
でもさ、和以外にこんな話し出来る人、いないんだもん。