第22章 日常10:僕、決めた!
お口の中に、イチゴの甘さと酸っぱさが広がる。
んふ、おいちぃ♡
「で、どうだったの?」
イチゴの無くなったフォークをペロンと舐めて、和が再び期待に満ちた目をする。
もお…、ちょっとチューしただけだよ?
それも事故なのにさ、そんなに気になる?
でも仕方ないよね…
僕は小さく息を吐き出すと、氷が溶けてすっかり薄くなったアイスティーをチューッと吸った。
「んとぉ…、柔らかかった…かな…」
「え、どんな風に?」
ど、どんな風って…、そんなこと覚えてないよ…
でも例えるなら…
「マシュマロみたいな感じ…かな…」
実際にはそこまで柔らかくはなかった…ような気はするけど…
「へー、それで? 味は?」
「あ、味…?」
「あるでしょ、レモンの味がした、とかさ」
「そ、そんなの無いよ…。だってベロチューしたわけじゃないし…」
あ、でも…
「ちょっとだけコーラの味がした…かも…」
あの時翔くんコーラ飲んでたし…
「ふーん、コーラの味ね(笑)」
ストローでアイスコーヒーの氷をカラカラさせながら、和がクスクスと肩を揺らす。
あれ?
僕、何か変なこと言った?
「なーんかさ、智って可愛いね(笑)」
「え…?」
僕…、可愛い?
そりゃHIMEの時には良く言われるけど、素の状態で可愛いって言われることってあんまりないから、どう反応して良いのか困ってしまう。
「だってさ、キスしただけでそんな顔赤くしちゃってさ、可愛い過ぎじゃない?」
「え、そ、そんな顔赤い?」
「くくく、イチゴみたいに真っ赤だよ(笑)」
「え、嘘っ…?」
僕は自分のお顔をペタペタと触ってみるけど、そんなことしたって分かる筈ないよね?
でも、ほんのちょっとだけど、お顔が熱くなってるのは感じるから、赤くなってるのは確かなんだろうな…
「智、嬉しかったんだね?」
「うん、嬉しかった…よ…?」
例え事故みたいなキスでも、キスには違わないからね?
でもさ…