第21章 日常9:耳を塞げば…
NINOの正体が和であることに気付いたってことは、勘の良い翔くんのことだから、僕がHIMEであることに気付くのだって、きっと時間の問題…だよね?
参ったな…
ってゆーかさ、僕達が隣のお部屋にいるって分かってて、あの状況でエッチしちゃう和達が悪くない?
声だってさ、凄く大きかったし…
おかげで僕大ビンチだしさ、どうしてくれんの?
…って、いない人のこと恨んだってしょうがない。
とにかく、この場を何とか乗り切らなきゃだね。
「和は…、翔くんが思ってる通りNINO」だよ」
和は怒るかもしんないけど、僕、和みたく上手く嘘もつけないし、仮に今上手く翔くんを騙せたとしても、僕のことだから絶対ボロは出るだろうし…
正直に言っちゃった方が良いと思ったんだ。
すっごく迷ったけどね?
「ごめんね、黙ってて、でもねっ…」
「やっぱりそうだったんだね。俺さ、初めて和さん見た時、顎のホクロ見てピンと来たんだよね。」
「そう…なんだ…?」
確かに和の顎のホクロは印象的だし、あのホクロがあるおかげでNINOのセクシーさが増してるってのは僕も思うけど…
でも、あれ…?
だとしたらさ、どうして?
どうして僕がHIMEだって気付かないの?
松本さんは気付いてくれたよ、僕の額のホクロに…
部屋中HIMEで溢れる程…
DVDが擦り切れる(…ことはないけど…)程、何回も何回もHIMEのDVD見てるのに、どうして僕の額のホクロには気付かないの?
あ、そっか…
翔くんが興味があるのはHIMEで、僕にはそこまで…ってこと?
そーゆーこと?
「なーんかさ、凄いよな?」
「何…が?」
「だってさ、考えてもみてよ。お互いAV男優なわけじゃん? なのに良く付き合えるなって…」
え…?
それってどうゆー意味?
「なんつーか…、嫌じゃないのかなって…、思ってさ…」
「嫌って…、何が?」
翔くんに限って…、って思うけど…
まさか…ね?