第21章 日常9:耳を塞げば…
おやつタイムが終わり、同時に始まった翔くんのお母さんからの質問攻め。
次々出される質問に、僕が一個一個丁寧に返していると、
「そろそろ良いだろ? 俺の部屋行こうぜ?」
翔くんが僕の腕を引いて立ち上がった。
「ぇ、でも…」
「いいから、行くぞ?」
「う、うん…」
僕はチョココロネのお礼を言うと、翔くんに引き摺られるようにして階段を上り、まるで引き摺り込まれるようにして翔くんの部屋に入った。
「ったく、お袋しつけーんだよな…」
ドカッとソファに腰を下ろしながら、ちょっぴり苛々したような口調で言う。
ふふ、なんだか翔くん、子供みたいだ(笑)
「そう? 僕は楽しかったけど?」
だって僕が質問に答える度、翔くんのお母さんてば「翔はね」って、僕が知らない翔くんのお話してくれるんだもん。
楽しいに決まってるじゃんね?(笑)
「まあ…、お袋相当智くんのこと気に入ったんだと思うけどね」
そうなの?
だったら僕、とっても嬉しいんだけど。
「うちのお袋ってさ、けっこうハッキリしてるっつーかさ、気に入らない人間とは、自分から進んで話しかけたりしないんだよね。でも智くんにはさ、自分から話しかけてただろ?」
うん、確かに…
「あんなの珍しいからさ(笑)」
「へえ…、そうなんだ?」
内心、嫌われちゃったらどうしようって、ずっと思ってたから、ちょつと安心しちゃった♪
まあでもそれは、僕が翔くんの“お友達”だからであって、もし“恋人”とかだったら、また別の反応なのかもしんないけどさ…
「あ、そう言えばさ、和さんのこと…」
「和? 和がどうかした?」
「相葉さんはハッキリとは言わなかったけどさ、絶対“NINO”だよな?」
あ…、お母さんとのお喋りが楽しくてすっかり忘れてたけど、翔くんNINOの正体に気付いてたんだっけ…
「智くんはさ、知ってたの?」
「えと…、その…、なんてゆーか…」
ああーんもぉ…、僕どうしたら良いの?
上手く誤魔化せる自信ないよ…