第21章 日常9:耳を塞げば…
それまで僕に向けていた視線をスッと逸らし、翔くんがわざとらしく咳払いをする。
そして頭の下に組んでいた手をゆっくりと…ほんとーにゆっくりと解くと、そのまま僕の下半身へと伸ばした。
嘘…でしょ…?
そんなのダメだよ…、絶対ダメ!
だって…、だって僕…
「ひゃん…っ…!」
自分を抑えられる自信なんて…無いもん。
なのに翔くんの手は僕の息子くんをキュッと握って、
「カチカチじゃん…」
なんて言うもんだから、お顔が燃えるように熱くなる。
「ね、ねぇ…、ダメだ…よ…、やめて…?」
「どうして? 出さないと辛いよ?」
知ってるよ?
知ってるけどさ、こんなのやっぱりダメだよ…
「そ、そうだけ…ど…、そうかも…だけど…、こんなの良くない…って…」
僕は布越しに僕の息子くんを握る翔くんの手を引きはがそうと、翔くんの手首を掴んだ。
「なんで? だって普通だろ?」
「普通…じゃない…よ…」
全然普通じゃない!
だって僕達はまだ…
ってゆーか、翔くんの言う“普通”って何なの?
僕にはわかんないよ…
「と、とにかく、僕トイレ行ってくるから…」
僕は翔くんの手を無理矢理引き剥がすと、勢いを付けて起き上がった。
「なあ、俺ら友達だろ?」
そうだよ、僕達はお友達だよ…?
「だったらさ、別に恥ずかしがる必要なくね?」
「え…?」
「学生の頃とかさ、見せ合いっことかしただろ? それと同じじゃね?」
何…言ってるの?
「俺とかさ、ずっと男子校だったから、野郎同士誰が最初にヌケるか競走したりとかさ、普通にしてたぜ?」
翔くんはそうだったかもしんないよ?
でも僕はそうじゃないから…
「だからさ、遠慮とかいらないから、こっち向いてみ?」
「で、でもっ…」
「遊びの延長だと思えば良いからさ、な?」
遊び…なんだ?
そっか…、そうだよね?
翔くんにとってはそうかもね?
でも僕は違うから…