第21章 日常9:耳を塞げば…
起こした筈の身体が、ゆっくりとベッドに引き戻される。
「こっち向いて?」
「え、でも…」
「いいから…。こっち向いてくんないと、ちゃんと耳塞げないでしょ?」
あ、そっか…
僕は両手でお股を隠したままで、身体ごと翔くんの方を向くと、静かに瞼を閉じた。
別にさ、キスされるわけじゃないから、目なんて閉じる必要もないんだけど、なんとなくそうしなきゃいけない気がして…
だってさ、僕の下半身…さっきより凄いことになってるからね?
なのに翔くんの顔を超至近距離で見ちゃったらさ…、僕速攻でイケる自信あるもん。
…って、そんなこと自慢してもしょうがないんだけどさ…
翔くんの指が、僕の髪をサラッと掬いながら僕の耳に触れる。
うぅ…、擽ったいんだけどさ、敏感になってる僕にとっては、ほんのちょっと触れられただけでも刺激になってしまって…
「へぇ~、智くんて耳弱いんだ?」
「そ、そんなこと…、ないもん…」
「うっそだ~、絶対弱いって(笑)」
翔くんは笑うけどさ、僕はそれどころじゃない!
だってさ、借り物なのにさ、パンティ…濡れちゃってる…
なのにそんなことも知らない翔くんはクスクス笑いながら、僕の耳に息を吹きかけたり、ついには耳を塞ごうとしていた手を下へと滑らせて、僕の脇腹をムギュって摘まんだリするから、そりゃもう僕は大パニックで…
「やだやだ、そこはマジでやめて…」
逃げ場なんてどこにもないのに、コチョコチョと僕の脇腹を擽る翔くんの手から逃れようと、必死で身を捩った。
元気になった息子くんを隠すことも忘れて…ね。
おかげで、抵抗しようの伸ばした手を捕まれ、グイッと引っ張られた拍子に、元気になった息子くんが翔くんの太腿に触れてしまって…
「え…、智…くん、もしかして…?」
僕の息子くんが元気になってることが、翔くんに知られてしまった。
もうさ、ビンチだよ、過去最大級のビンチ!