第3章 scene1:屋上

｢よし、じゃあそろそろ始めようか｣

カメラマンさんの合図で、僕は予め指定された場所に立った。

さっきまで監督さんだった人は、今度は僕にレフ板を向けるアシスタントさんに立場を変えている。

本格的なドラマや映画じゃないから、極少ないスタッフだけで撮影しようと思ったら、皆一人が何役もこなすことになる。

｢よーし、HIMEちゃん唇に人差し指当ててみようか｣

唇に人差し指って…、こう…かな？

スチール撮影の苦手な僕は、戸惑いながらもカメラマンさんの指示に合わせてポーズを取る。

すかさずシャッターを切る音が、風音に紛れて響いた。

その後も、カメラマンさんの指示のままにポーズを変え、カメラに笑顔を向ける僕…

｢いいよ〜、可愛いね、凄く可愛いよ｣

うん、やっぱり可愛いって言われると悪い気はしない…って言うか、寧ろ嬉しい♡

｢よし、じゃあ…そこに座ってちょっとだけスカート捲ってみようか？｣

｢はい｣

僕はベンチに腰を下ろし、スカートの裾を持ち上げる。

｢足、開いてくれる？｣

｢こう…ですか？｣

僕は言われるまま、小首を傾げ、片手でスカートの裾を持ち上げながら、両足を大きく開く。

女性用の下着を着けているから、ひょっとしてはみ出しちゃってないかちょっと心配だけど、多分大丈夫。

｢白いパンティも、HIMEちゃんが着けると、どうしてエロくなるんだろうね？｣

｢え〜、そうですか？｣

｢もしかして、ブラも白だったりするのかな？｣

｢ふふ、見ます？｣

僕は上目遣いでカメラを見つめながら、セーラー服のリボンに手をかけた。

シュルッとリボンを解き、セーラー服の前を開く。

瞬間、カメラマンさんが場所を変えながら、有り得ないスピードでシャッターが切り始めた。

｢よし、そのまま上脱いじゃおうか？｣

僕は監督さんの切るシャッターに合わせ、セーラー服を肩からゆっくり落として行った。