第19章 scene4:宴会場
直ぐに聞こえ始めた規則的な寝息に、僕も瞼を閉じるけど…、全然眠れない。
身体はすっごく疲れてるし、早起きしなくちゃなのも分かってるのに、全然眠くなくて…
薄明かりの中でジッとニノの寝顔を見ている僕は、ふと相葉さんが言ってた言葉を思い出した。
仕事だって分かってるけど、自分の恋人が他の奴に抱かれてるって、超複雑だ、って。
櫻井くんはどう思うんだろう…
もし僕が、成り行きとは言え“HIME”としてゲイビに出てることを知ったら…
僕自信はお仕事だって割り切ってるけど、他の…特別な関係じゃない人に抱かれてる、って知ったら…
櫻井くんは僕のこと軽蔑するんだろうか…
あ、でも…
そもそも櫻井くんはHIMEの大ファンだし、僕がHIMEだと知ったら喜ぶんじゃない?
…って、いくら何でも都合良く考え過ぎか…
大体僕、まだ告白だってしてないもん。
なのに先のことばっか考えちゃうの変だよね?
僕は地底まで届きそうな深い溜息を落としてから、ニノの背中に腕を回した。
全然逞しくもないし、寧ろ僕とそんな変わんない体格なのに、胸にピタッと耳をくっつけてみると、息をする度上下する胸板や、規則正しく脈打つ心臓の音が、とても心地良くて、落ち着く。
櫻井くんと一つお布団で寝た時は、ソワソワしちゃって全然落ち着かなかったのに、変だよね?(笑)
「何…、眠れないの?」
え…?
「あ、ごめん、起こしちゃっ…た…?」
眠っているとばかり思っていたニノに声をかけられ、僕は慌てて胸に埋めていた顔を上げた。
するとニノはクスって笑ってから、僕をギューって強く抱き締め、顎をグリグリと僕の頭に押し付けて来た。
ってゆーか、それ痛いし…
「そりゃそうでしょ…、智の鼻息荒過ぎて、擽ったくて寝てらんないし…」
「は、鼻息って…」
酷っ…、僕そんなに鼻息荒いつもりないんだけどな…
ってゆーか、いつから起きてたんだろ…