第18章 scene4:露天風呂
その後、露天風呂での撮影を終えた僕達は、昼休憩も兼ねて近くの温泉街へと繰り出した。
勿論、その間も本格的なものではない無いにしろ、カメラはしっかり回っていて、レンズは僕に向けられている。
まあ、温泉街と言っても随分と寂れた印象だし、擦れ違う人はみんな地元のおじいちゃんやおばあちゃんばかりで、観光客の姿は殆どない。
そんな中で僕や撮影スタッフを含めた集団が連なって歩けば、当然それなりの注目を集めることになるわけで…
だいたい考えても見て?
長瀬さんや坂本監督もそうだけど、みんなむさ苦しいオジサン達ばっかなんだよ?
そんな人達が寄ってたかって僕一人を取り囲んでるんだから、おじいちゃんやおばあちゃん達から見たらとっても物珍しく見えるんだと思う。
だって擦れ違ったおじいちゃんやおばあちゃんが僕達を見る目ったら…(笑)
まるで大名行列か、若しくは悪代官(←言い方!)に連れ去られるお姫様(←勿論”僕”ね♡)でも見てるかの様だったんだもん。
僕、撮影中だってこと忘れて笑っちゃったよ(笑)
おかげで僕、自分が浴衣の下に何も着けていない、つまりノーパンだってこともすっかり忘れていて…
「さっき途中にロケーションの良い川原があったから、出たついでだしそこでHIMEちゃんのオナシーン(←オナニーシーンのことね♪)撮っておこうか」
ランチに入ったうどん屋さんで、僕は口いっぱいに含んだおうどんを吹き出しそうになってしまった。
だってそんな話、僕聞いてないもん…
しかもさ、みんな僕のことなんか置いてけぼりで、超乗り気だしさ…
いいよ?
そうゆーお仕事だしさ、監督さんの一声で状況が変わったことだって、今までに何度も経験して来てはいるけどさ、それならそれでもう少し前に教えて欲しかったな…
ほら、僕にだって色々心の準備ってもんが必要じゃん?
…って、心の中では悪態をつきながらも口では、
「わあ、楽しみ~♪」
なんて言っちゃう僕…
仕方ないよね?
だって僕は”HIME”なんだから…