第17章 scene4:温泉宿
渋々風間ポンからお金を受け取り、車を降りようとするけど、ふと自分がノーパソだってことに気付き、僕はリュックの中に手を突っ込んだ。
でも、
「だーめ、そのまま行ってきて」
しっかり固定されたニッコリ顔で言われ、僕は首を横に振った。
だっていくらなんでもノーパンでお買い物なんて…
それもこんなミニスカートじゃ、ちょっと屈んだらお尻見えちゃうもん。
絶対ムリ!
…って、言えたら楽なんだけどな…
優柔不断…ってゆーか、断るってことを知らない僕は、渋々車を降り、辺りをキョロキョロしながら、コンビニの中へと飛び込んだ。
「えっと…、ティッシュは…」
スカートの裾が捲れてしまわないように気を付けながら、店内をグルグルと見て回る。
だいたいどこのコンビニでも商品の配置はそう大して変わりはないから、目的の物はすぐに見つかったけど…
よりにもよって一番下の棚とかさ…なくない?
だってどうやったって屈むか、しゃがむかしないと取れないんだもん。
でも仕方ない…よね?
僕は周りに他のお客さんがいないことを確認してから、なるべく足がガニ股にならないよう注意しながらその場にしゃがみ、何種類かあるティッシュの物色を始めた。
えっと…、なになに…?
こっちは枚数も多いし、お値段もお手頃だけど、でも前にも買ったことあるけど、ちょっとゴワッとしてるんだよね…
んで、こっちは…枚数は同じだけど、お値段はちょっぴりお高めで、でもその分柔らかそうだし…
う~ん…、どっちにしよっかなぁ…
あ、でも僕のお金で買うわけじゃないし、こんな恥ずかしい格好でお買い物に行かされてるんだもん、ちょっとくらい高くたって平気よね?
それに、あんまりゴワゴワした素材だと、僕の息子くん拭くが痛がるといけないし…
ほら、僕の息子くんって、触っただけで元気になっちゃうくらい、敏感に出来てるからさ♪
「これにしよっと…」
僕はお値段高めでふんわり素材のティッシュの箱を手に取ると、それを持ってレジに向かった。