第17章 scene4:温泉宿
もっと…
もうちょっと奥まで…って、心の中で強く願うけど、僕の思いとは裏腹に、風間ポンの手は僕の太腿から離れて行き…
“なんで?”って聞きたいところだけど、やめた。
理由なんて聞かなくたって分かってるもん。
だって、風間ポンは女の子が好きで、男の子には全く興味ないって言ってたし…
だったら、どうしてこんな仕事してんの?って話なんだけどね?(笑)
だから風間ポンにこれ以上のことは、期待しちゃいけないの。
「赤い下着って、凄くセクシーだね?」
「そう…ですか?」
確かに色は派手だし、風間ポンの言う通りかもだけど、今日の下着はウエスト部分や、お尻のレースになった部分に、沢山の小さなお花が飾られれれて、“セクシー”ってゆーよりかは、寧ろ“可愛い”方だと思うんだけどな…
ま、“普通”の男の子の持つ感覚と、僕みたいにちょっぴり“変わった子”の持つそれとでは、案外違ったりするから、仕方ないことなんだけどね?
「あ、ねぇ、女の子ってさ、セットアップって言ったら良いのかな…、ブラとパンティと同系の物にしたりするでしょ?」
「そうかも…」
特に“勝負”かける時には、気合いの入った下着を選びがちよね…
「じゃあさ、HIMEちゃんの今日の下着もそうだったりする?」
「え? ま、まあ…」
「ふーん…。それってさ、見せてくれたりって出来る?」
「え、ここで…ですか?」
一応窓にはスモークも貼ってあるし、外からは見えないけど、でも…
「HIME…恥ずかしいよ…」
僕はワンピースのざっくり開いた襟元を、キュッと手で引き寄せた。
でもそれが逆効果だったみたいで…
胸元はしっかり隠したけど、代わりにノースリーブの袖口からは、真っ赤なブラ紐がツルンと滑り…
「あっ…」
慌てブラ紐の位置を直そうとするけど、
「そのまま…」
風間ポンの手がそれを止めた。
「で、でも…」
「いいから、そのままで…」
そう…なの?
別にさ、エッチぃ目で見られてるわけでもないし、なんならすっご〜く優しく笑ってるだけなんだけど、なんだろう…風間ポンには僕…逆らえないみたいよ?