第16章 日常7:眠れない僕と寝相の悪い彼
僕はこっそりTシャツの中に手を突っ込むと、息子くん同様、カチコチになったおっぱいの先を指で摘んだ。
「んっ…」
思わず声が漏れてしまって、ドキッとした僕は、枕元に落ちていたタオルを引き寄せると、それを口に咥えた。
そして引いた腰を櫻井くんの膝に押し当て、軽く腰を揺らした。
ヤバっ…、すっごく気持ち良い…
あ、でもちょっと待って?
このままもしイッちゃったら…
当然パンツも濡れちゃうし、もしかしたら櫻井くんのお膝を汚してしまうかも…
それは…ダメだよね?
僕はTシャツに突っ込んでいた手を出すと、咥えていたタオルも口から出し、僕の上にズシーンと乗っかっていた櫻井くんの腕を強引に持ち上げた。
そうしてやっとの思いで櫻井くんの腕LINEから抜け出すと、僕は両膝を抱えた格好で、壁に背中をもたせかけた。
だってこんなのやっぱり良くないよ…
そりゃさ、気持ち良くなりたいよ?
でもさ、どうせ気持ち良くなるなら、一緒に気持ちよくなりたいもん。
僕だけ気持ち良くなったって、それは寂しさ紛らすだけのオナニーと一緒だもん。
…って、前も同じこと思わなかったっけ?
はあ…、僕ってば学習能力無さ過ぎ…
僕は気持ち良さそうに寝息を立てる櫻井くんをお布団に残し、そーっと押し入れを開けると、リュックの中からHIME専用スマホを取り出した。
こんな時に頼れるのは、一人しかいない。
僕は時間を気にしつつも、ニノとのトーク画面を開くと、
『起きてる?』とだけメッセージを送った。
すると、ものの数秒も経たないうちに“既読”の二文字が表示され、
『起きてるよ』
『どうしたの?』
とメッセージが返って来た。
僕はHIME専用スマホを手にキッチンへと移動すると、冷蔵庫の扉を背に、床に腰を下ろした。
『あのね、今ね、僕の部屋に、櫻井くんが来てて…』
『ウソ、マジで? で、で、で? もしかして、シちゃった?』
もぉ…、先走り過ぎだよ…