第15章 日常6:焦る僕と浮かれる彼
櫻井くんのニヤケ顔が、すーっごくムカつく。
理由は分かってる。
僕、HIMEに嫉妬してるんだ。
HIMEはもう一人の僕なのに、僕がもう一人の自分であるHIMEに嫉妬してる。
自分でも変だと思うよ?
でもさ、HIMEばっかじゃなくて、僕のことも見て欲しいって思っちゃうんだもん。
あーあ、“恋”って面倒臭い…
「ねぇ、ちょっと聞いても良い?」
和に言われたのも勿論だけど、僕自身もずっと気になっていたことを、櫻井くんに聞いてみることにした。
「ん、なに?」
「櫻井くんてさ、男が好きってわけじゃなくて、その…“HIME”だけは特別…なんだよね?」
「うん、なんつーかさ“特別枠”って感じ?」
そっか…、そこはブレてないんだ。
「でもさ、“男”だよね? ってことはさ…」
そこまで言ったところで、櫻井くんの顔が険しくなる。
まるで、“何が言いたいの?”って言わんばかりに…
怒らせちゃった、って瞬間的にそう思った。
でも僕はその顔を横目で見つつ、手だけは休めることなく動かし続けた。
多分以前の僕なら、その時点で逃げ出しちゃうんだろうけど、和と相葉さんという強い味方を得た僕は最強なわけで…
丁度手にしたDVDのケースを櫻井くんの前に突き出すと、
「見て?」
とパッケージをひっくり返し、おっぱいをポロンして、お股もおっ広げにする女の子を指でさした。(←勿論、ぼかし加工有り)
「そ、それがどうしたの?」
「櫻井くんはさ、“女の子”が好きなんだよね?」
「当然だろ? 何言ってんの?」
「でもさ、HIMEは違うよ? 見た目は確かに女の子に見えるけど、普通に男じゃん?」
櫻井くんは“特別枠”って言うけどさ、そんな簡単なことじゃない。
だってHIMEには、
「ねぇ見て? 普通の女の子には付いてないモノが、HIMEには付いてるんだよ?」
櫻井くんや、勿論僕にも同じ物がね。