第14章 日常5:素顔の僕とお姉ちゃん(?)
この業界って面白くて…
女優さんに比べて、男優さんのギャラ(つまり出演料ね?)は凄く安くて…
僕みたいに素人同然のAV女優でも、一本出たら…十万ちょい?
だからNINOだと…安くたって一本三十万くらい…なのかな?
そこから事務所になんだかんだ引かれたり、メイク道具とかウィッグとか…お洋服とか? けっこうかかるけど、それでもそれなりの額にはなってる筈。
ただ、女優さんの一本あたりのギャラが十万単位なのに比べて、男優さんのギャラはマックスでも五万円程度。
勿論、相葉さんクラスになれば、もっと…倍まではいかないにしても、マックスは余裕で超えてるだろうし、本数重ねたらそれなりの金額にもなると思うんだけどね?
そんな二人が一緒に暮らしてるんだから、少々お家賃が高くたって平気なのかも…
はあ…、僕なんてまだまだだね…
ガックリ肩を落としたところで、僕達を乗せたエレベーターが止まり、ドアがゆっくりと開いた。
「降りるよ?」
「あ、は、はい…」
“開く”のボタンを押して、僕の背中を押してくれる相葉さん。
(僕も人のこと言えないけど…)トンチンカンなとこもいっぱいだけど、やっぱり相葉さんて優しい♡
もし相葉さんがNINOの恋人じゃなかったら僕、相葉さんのこと…
好きになってたかも…って、僕何考えてんの?
そりゃさ、まだ告白もしてないし、僕のことなんてきっと何とも思ってないかもだけど、僕には櫻井くんがいるってゆうのに…
もお…、僕のばがばかばかー!
僕はエレベーターを降りたところで、自分の頭をグーでコツンと叩いた。
「部屋、一番奥だから…」
「あ、はい…」
「あ、でもさ、先に言っとくけど…」
「?」
「びっくりしないでね?」
「え…?」
「だからさ、何見てもびっくりしないでね?」
「は、はあ…」
僕は意味も分からないまま、相葉さんにコクンと頷いて見せた。