第14章 日常5:素顔の僕とお姉ちゃん(?)
散々迷った末、結局いつもと代わり映えのしない格好でアパートを出た僕は、バスと地下鉄を乗り継ぎ、NINOとの待ち合わせ場所に向かった。
普段アパートとバイト先との往復しかしない僕にとっては、けっこうな遠出なわけで…
そのせいもあってか、
「あ…れ…? ここどこだろ…」
スマホの地図アプリが指示する通りに足を進めている筈なのに、中々目的地には辿り着けなくて…
…ってゆうか、どんどん遠ざかってるような気がして…
「どうしよう…、僕迷子になったかも…」
路頭に迷ってしまった僕は、スマホの時刻表示に視線を向けると、ガックリと肩を落とした。
余裕を持ってアパートを出た筈なのに、しっかり待ち合わせ時間過ぎてるし…
こんなことなら、僕の方から待ち合わせの場所指定すれば良かった…って、後悔したってしょうがないよね…
僕はNINOとのトーク画面を開くと、
『ごめんなさい…、迷子になってて…、ちょっと遅れます』
きっと僕の到着を待っているだろうNINOにメッセージを送った。
すると、ものの数秒も経たないうちに、僕のスマホが震え始めて、画面上にNINOの名前と、二人で撮った画像が表示された。
「も、もしもし…、あ、あの僕、多分近くにいる筈なんだけど、迷子で…」
『今どこ? 迎えに行って上げる』
「え、でも…」
『大丈夫、私も今向かってるところだから』
なんだ…、そうだったのか…
良かった♪
僕は目印になりそうな建物をNINOに伝えると、通話を切ったスマホをギュッと握り締め、その場にしゃがみ込んだ。
それにしても良い天気だな…
こんなに天気が良いと、眠たくなっちゃうよ…
「ふぁ〜あ…」
大欠伸をした丁度その時、耳を塞ぎたくなるような爆音と共に、僕の目の前にやたらとでっかい車が停まった。
そして助手席側の窓がゆっくり下がり…
「お待たせ、HIMEちゃん♪」
見覚えのある顔が、僕に向かって太陽みたいな笑顔を向けた。
なんで?