第14章 日常5:素顔の僕とお姉ちゃん(?)
「あの…、どうして相葉さんが?」
ってゆーか、どうして僕が”HIME”だって分かったんだろう?
僕が首を傾げると、相葉さんは二カッとばかりに顔をクシャクシャにして、
「取り敢えず乗って?」
空席になっている助手席を指さした。
「は、はあ…」
僕は半ば渋々助手席に乗り込むと、相葉さんがすかさず身を乗り出して、僕にシートベルトをかけた。
左ハンドルの助手席なんて初めてだから、ちょっと違和感なんだけど…
それに、車体が低いせいか、腰がちょっと…痛いかも。
「あ、あの、NINO…は…」
僕が聞くと、相葉さんは一瞬おどけたように肩を竦めてから、アクセルを踏み込んだ。
「う、うわっ…!」
急発進する車に、シートベルトでしっかり固定されている筈の僕の身体が、シートから滑り落ちそいになる。
相葉さんて、一見優しそうで、いかにも“好青年”って感じだけど、けっこうヤンチャなとこあるんだよね(笑)
勿論、“アソコ”もね♡
それにしても…、一体どこに向かってるんだろ?
NINOと待ち合わせた筈のお店はしっかり通り過ぎちゃってるし…
「あの、どこに行くんですか? 僕、NINOと…」
あ!
言いかけたところで、僕はとんでもない想像をしてしまう。
でもまさか相葉さんに限って、そんなこと…ないとは思うけど、でもこの状況…
もしかして僕、このままどこかに連れ去られて、んでもってどこか…それこそ海外とかに売り飛ばされたりとか?
だって、今は…そりゃどこにでもいる平凡な“男の子”だけど、HIMEの時は超可愛い“男の娘”じゃん?
世界中どこにでもそうゆー趣味の人だっているだろうし、それなりに需要ありそうだし…
あ、まさか…
ううん、そんなこと考えたくないけど…
身体中切り刻まれて、んでもって内蔵取り出されて…、とか?
え、え、それちょっと…、ううん、かなり困るんだけど!
だって僕…
まだ櫻井くんに“好き”って言えてないのに…
このまま人生終えるなんて…
絶対嫌ー!