第13章 scene3:待合室
もう僕どうしたら良いの?
櫻井くんのことが好きだ、って漸く(いや…、もしかしたら前から分かってたかも…だけど)自分の気持ちがハッキリ分かったばっかなのに…
告白する(…とは、決めてないけだ…)前にこんな姿見られちゃうなんて…
絶対嫌われたよね?
「あ、あの…、大丈…夫?」
全然大丈夫じゃないよ…
「なんか…ごめんね? 変なタイミングで声かけちゃって…」
そうだよ…
どうせならもっと後で声掛けてくれれば良かったのに…
「あ、でも気にしないで? 俺、HIMEちゃんのことだったら、どんな姿見ても嫌いになったりしないし、寧ろ“可愛い”って思えちゃうからさ…」
「ホント…に…? ホントにHIMEのこと、嫌いにならない?」
「うん、絶対ならない! 部屋にあるHIMEちゃんグッズ全部賭けて違うよ」
「そ、そんな…、大袈裟よ…」
良かった…
櫻井くんに嫌われていないって分かっただけ、安心は安心だけど…、でもそれって“HIME”だから…ってことよね?
もし僕が“智”だと知ったら…
あー、ダメダメ!
まだこれからパッケージ用のスチール撮影も続くんだから、余分なことは考えちゃダメ。
櫻井くんのことは…、どうしても気になっちゃうけど、お仕事に集中しなくっちゃね。
僕は櫻井くんから受け取ったリンゴジュースを一気に飲み干すと、
「ホントにこれからもHIMEのこと、好きでいてくれる?」
長い睫毛(もちろん“ツケマ”よ)をパタパタッとさせ、櫻井くんを上目遣いで見つめた。
「も、勿論だよ! 俺は絶対にHIMEちゃんのこと嫌いになったりしないから…」
「ふふ、櫻井くんがそう言ってくれるならHIME…、頑張れちゃいそうよ♪」
僕は櫻井くんに、極上の“HIMEスマイル”を向けると、
「HIMEちゃん、そろそろスタンバイ宜しく」
スタッフさんの呼ぶ声に、「はぁい♡」と返事をしてから、“よっこいしょ”と掛け声をかけ立ち上がった。