第13章 scene3:待合室
キョトンとする僕の両足を、松本さんがガバッと開く。
「きゃっ…」
驚いた僕は、咄嗟に両手でお股を隠す。
だって僕…、ノーパンだよ?
「えっ…、な、何…?」
お股を開いたままあたふたする僕に、
「じっとしてろ」
特徴のある低い声で言いおくと、デスクの上のティッシュを引き抜き、松本さんが僕のお股をフキフキし始めた。
「あ…、あの…、HIME自分で…」
「いいから…」
だって…、恥ずかしいもん…
そりゃさ、松本さんにはもう全部見られちゃったよ?
それこそ、“暴れん坊将軍”の先っぽだって、蕾ちゃんの奥だってさ、今更隠す場所なんてないけどさ…
でもそれは、あくまでカメラが回ってる時のことであって、スタジオセットの組み換えを待つこの時間は、ちょっと気分的に違うってゆーか…
もし…、もしもね、松本さんの手が先っぽに触れちゃって、せっかく大人しくなった“暴れん坊将軍”が、また大暴れしちゃったりしたらさ…
もう僕どうして良いか分かんなくなっちゃいそうだもん。
「や、やっぱり自分で…」
僕は松本さんの手からティッシュを奪い取ると、椅子をクルンと回転させて、松本さんに背中を向けた。
短過ぎるスカートの裾を捲り、太腿にカピッと点々と残る白いモノを拭う…けど…
「あ、あれ…?」
太腿は…当然手は届くし、問題ないけど、後ろ…ってゆーか、お尻はさすがに自分ではちょっと無理…かも?
僕は松本さんに背中を向けたまま、僅かに腰を上げると、ティッシュで包んだ指を後ろに回した。
ああもう…、シャワーだったらこんな苦労しなくても良いのに…
僕はため息を落としながら、手探りで蕾ちゃんの周りを拭いた。
「HIMEちゃん、ちょっと椅子退けるよ?」
「あ、は、はい…」
スタッフさんの声に頷きながらね。
「あ、それと悪いんだけど、そっちの端でやってくれる?」
え…、マジ…で?
僕、今動ける状態じゃないんですけど…