第13章 scene3:待合室
松本さんに腰を支えられ、いかにも“ドクター”みたいな椅子に腰を下ろす。
さすがだね…、とっても座り心地が良い♪
「何か飲むか?」
松本さんが僕の目線まで腰を屈めて言うから、僕は顎先に人差し指をちょこんとあててから、
「えっとぉ…、HIME、リンゴジュースが飲みたいなぁ」
可愛らしく小首を傾げてみせる。
すると松本さんはすぐ後ろに立っていた櫻井くんを振り返り、ポケットから取り出した財布を手渡した。
「お前も好きなモン買って来い」
ってね。
さすが超人気男優ね…、気前が良いわ♡
「潤兄は? 何かいる?」
「俺は…、水があれば…」
「OK、行ってくる」
松本さんから財布を受け取った櫻井くんが、駆け足でスタジオを出て行く。
ってゆーか、“潤兄”って…
ふふ、なんか不思議(笑)
「それにしても…」
「えっ…?」
「いや、噂には聞いていたが、何度でもシタくなる身体だな…」
え?
それって…どういう意味?
「なんて言うか…、俺的には…だが、虐めたくなる身体っていうか…」
え、待って?
ますます意味が分かんないんだけど?
え、それってさ、僕が“Mっぽい”ってこと?
あるよ?
根っからの“M”だって…、以前共演した男優さんに言われたこと、確かにあるよ?
でもまさか松本さんに言われるなんて…
僕、思ってなかったよ。
「HIME…、痛いの嫌いよ?」
気持ち良いのは好きだけど♡
「だってHIME、お注射だって怖いもの…」
お尻にされるお注射は好きだけど♡
「それにHIME、意地悪されるのもなの嫌よ?」
焦らされるのは好きだけど♡
「だからHIME、虐められるのは好きじゃないわ?」
「く、くくく、面白いな…」
「え…?」
僕…、なんか笑われるような変なこと言った?