第13章 scene3:待合室
カットの声がかかった瞬間、僕の身体から一気に力が抜ける。
ってゆーか、ずーっとヘンテコな診察台の上で変な格好させられてたから、どうやら足がおバカさんになっちゃってるみたい。
膝がガクガク?ケタケタ?してて、支えがなかったら一人では立っていられなくて…
「大丈夫?」
僕は咄嗟に伸びて来た手を握った。
松本さん…だと思ったんだ。
でも…、あれ?
松本さん…じゃない?
この手…まさか?
「俺の肩で良かったら、寄りかかって?」
さ、櫻井…くん?
顔なんて見なくたって、声だけで…、僅かに触れた指の感触だけで、櫻井くんだって分かる。
ってゆーか…、この手…さっきまで櫻井くんの“ビックチェリー”をニギニギしてた手…よね?
微かに濡れてるから、きっとそう…なんだよね?
櫻井くんの“ビックチェリー”に触れた手が、僕の手に…
嬉しいけど…
ずっと櫻井くんの手を握っていたいし、コツンてするには丁度良い肩に寄りかかりたいけど…
ダメだよね…?
だってそんなことしたら、僕が“智”だってバレちゃうかもしんないもん…
もし“HIME”の正体が“僕”だって知られちゃったら、もう僕櫻井くんの傍にいられなくなるもん。
そんなの絶対にイヤ…
「あの…、松本さん…、手…借りても良いですかぁ?」
僕は櫻井くんの手をやんわり拒絶すると、松本さんの腕に自分の腕を絡めた。
だって仕方ないじゃん?
ホントはさ、松本さんの腕じゃなくて、櫻井くんの腕に僕の胸をムギューって押し付けたいけどさ、そんなこと出来ないもん。
それにさ…、僕たった今イッたばかりじゃん?
櫻井くんの匂いを間近で嗅いじゃって、もしムクムクしてきちゃったらさ…、困っちゃうもん。
やっぱり櫻井くんには、僕が淫乱な子だって思われたくないしね?
…って、もう手遅れかもだけど(笑)