第12章 scene3:診察室
ところが…
松本さんは僕の渾身の“激カワおねだり”に応えることもなく、松岡監督さんの元に歩み寄ると、おっぴろげになった僕のお股を、松岡監督さんと二人して覗き込んだ。
そして二人で顔を見合わせ、何やらお互い目だけで合図を送り合うと、徐に松本さんが服を脱ぎ始めて…
パンツ(下着の方よ)だけになった上に、スタッフさんから手渡された白衣を、そりゃもう超キザったらしく纏った。
ってゆーか、どれだけ格好よく決めても、白衣の下は裸だからね?(笑)
でも…
松本さんて、顔だけじゃなく、身体まで彫刻のようなのね?
悔しいけど…、HIMEウットリしちゃったわ♡
「さて、と…」
白衣を纏った松本さんが、いかにも“ドクター”みたいな椅子に座り、長い足を組む。
そして印象的な目で僕をチラリと見ると、
「今日は俺が幸せにしてやるから、覚悟しろよ?」
男らしい手で僕の頬をスルリと撫でた。
あ…、なんだろう…、すっごくゾクゾクする…
僕はコクリと頷くと、スッと息を深く吸い込んでから、静かに瞼を閉じた。
僕はHIME…
櫻井くんが見てるのは…、ちょっと(かなり…)気になるけど、視界にさえ入らなきゃきっと大丈夫。
だって僕は“HIME”だから…
自分におまじないをかけ、閉じていた瞼を開いて、僕を見つめる松本さんに、熱の籠った視線を向けた。
その時…
「よーい、始めっ!」
独特な掛け声と共に、カチンコがカンッと打ち鳴らされた。
「先生…、苦しいの…」
「どこが苦しいんだい?」
松本さんが立ち上がり、グリップを握った僕の手をそっと撫でた。
「言えない…」
首を横に振る僕を見下ろし、ゆっくりと僕との距離を縮めて来る。
そして…
まるで噛み付くように僕の唇にキスをすると、僕の手を握った手はそのままに、もう片方の手で僕の胸元のボタンを一つ…外した。
ふふ、器用そうに見えるけど、案外不器用なのね?(笑)