第12章 scene3:診察室
固定された僕の足が、僕の意志とは関係なく開いて行く。
それも、お股が避けてしまうんじゃないかってくらい、大きく…
それには流石の僕も動揺するばかりで…
「あ、あ、あのっ…、これって一体…」
頭だけを持ち上げて、全開になったお股の間に見える松岡監督さんに問いかけてみるけど…
「この角度だと、カメラの位置取りが難しくなんねぇか?」
僕を一瞥するどころか、完全にスルーされてしまう。
有名な監督さんだかなんだか知らないけど、僕…松岡監督さん好きじゃないかも…
だってこんなにも放ったらかしにされたの、僕初めてなんだもん。
酷いよ…
僕はやっぱり松岡監督さんに見えないよう(…ってゆーか、見てないけどね?)に唇を尖らせると、肘掛の先に着いていたグリップを握った。
その時…
「くくく、可愛いだけかと思ったら、そんな顔も出来るんだな?」
「え…?」
僕今、すっごーく不細工な顔してたのに?
あ、もしかして僕、揶揄われてんの?
僕は唇を更に尖らせ、僕を見下ろす松本さんを睨み付けた。
「くく、ほらその顔…、唆るねぇ…。凄くセクシーだ」
セク…シー…?
僕“可愛い”って言われることはあっても、“セクシー”って言われたの、初めてかも…
「あ、あの…、松本さん…?」
「何だ?」
「えっと…、さく…従兄弟さんはずっとスタジオに?」
「その予定だが、何か問題でも?」
こんなヘンテコな診察台に乗っけられて、お股おっぴろげにされちゃったし、今更感半端ないかもだけど、やっぱり櫻井くんに見られるのは…ちょっと抵抗がある。
ましてや、僕が松本さんに抱かれて、気持ち良さそうに喘いでる姿なんて…
「ちょっと恥ずかしいかなぁ、って…」
僕は耳まで熱くなるのを感じながらも、松本さんに訴えると、
「だから…、お願い?」
長い睫毛(勿論、ツケマよ♪)を何度かパタパタッと瞬かせた。