第10章 日常4:彼のベッド
HIME専用スマホに表示された通知は、優に100件を超えていて…
そのうちの約90%がNINOからのメールで、残りは…
え、相葉さん?
確かにアドレスの交換はしたけど、あれっきり何の連絡も無かったのに、突然どうして?
僕はNINOからのメッセージを後回しに、相葉さんとのトーク画面を開いた。
すると…
「えっ…?」
それまで真っ白だった画面に、挨拶もそこそこに、奇妙な色をしたクマさんのキャラクターが、なんともしょぼくれた顔で項垂れているスタンプが表示されていて…
『和也怒らせちゃった…』
は?
『俺、どうしたら良い?』
へ?
ちょっと待って?
僕、意味分かんないんだけど…
そもそも“和也”って誰?
僕はスマホに向かって首を傾げ、暫く考え込んた後、
「あっ!」
思わず大きな声が出てしまい、僕は咄嗟に手で口を塞ぎ、そーっと櫻井くんの様子を返り見た。
ほっ…、良かった、良く寝てる…
僕はスマホに視線を戻すと、相葉さんとのトーク画面を閉じ、代わりにNINOとのトーク画面を開いた。
やっぱりだ…
“和也”はNINOのことだ。
僕は100件を越すメッセージを、上から順に読み進めた。
『HIMEちゃん、聞いて!』
から始まり、
『もー、私とのセックスの最中に、HIMEちゃんとのセックスの感想聞いてくるとか、無神経過ぎると思わない?』
『ホント、信じられないわよ…。もう、まーくんなんて嫌いよ…』
の後に、黒髪小悪魔風美少女キャラがプンスカしているスタンプで終わるまで、ね…?
僕はスマホの画面を閉じると、ソファの背凭れに深く背中を預け、一人クスリと笑った。