第10章 日常4:彼のベッド
コンコン…なんてもんじゃない、ドンドンとバスルームのドアが叩かれて…
「は、は、は、はいっ!」
返事をする声が思わずひっくり返って…
「タオルと着替え、ここ置いとくから…」
言われても、
「あ、あ、あ、う、うん…」
それだけを返すだけで精一杯で…
僕は櫻井くんが早くその場から立ち去ってくれるのを、フルマックス状態のアイツを握り、腰をビクビクと震わせながら願った。
だってこんな姿、櫻井くんには見せらんないもん…
絶対軽蔑されるもん…
だから…
だから早く行って!
降り注ぐシャワーを浴びながら、心の奥で強く願っっていると、背後でパタンとドアが閉まる音が聞こえて…
「良かった…」
櫻井くんにこんな恥ずかしい姿を見られずに済んだ安堵感に、僕はホッと息を吐き出した…のも束の間…
「んんっ…、んくっ…!」
ずっと溜め込んでいたモノが一気に解放されて…
「あ…、はぁ…っ…」
脱力してバスルームの床にヘナヘナと崩れた僕の目の前で、点々と白い染みで汚れた鏡が揺れていた。
「はあ…、僕な何やってんだろ…」
とんでもない罪悪感が、ドスーンと僕の肩にのしかかってきて…
僕はシャワーを鏡に向かって浴びせると、僕が汚してしまった部分を綺麗に洗い流した。
そしてノロノロと立ち上がると、シャワーヘッドを元の位置に戻し、バスルームを出た。
櫻井くんが用意してくれたタオルで身体を拭き、櫻井くんが用意してくれた下着を手に取る…けど、
ちょっと待って?
これって櫻井くん…の…?
しかも使用中?
僕は手にした赤の迷彩柄パンツを、そっと鼻先に近付け、クンと匂いを嗅いだ。
あ、決して変な趣味じゃないからね?