第10章 日常4:彼のベッド
身体を洗うだけが精一杯のアパートの風呂場に比べ、ゆったりと広いバスルームは、まるでホテルかなんかのようにシンプルなんだけど、お洒落で…
シャワーコックに手を伸ばした瞬間、NINOとの撮影で訪れた”あの”超ラブリーなファッションホテルのバスルームが脳裏を掠めた。
ハート型のバスタブ、可愛かったよな…
それに、アワアワの風呂の中で、NINOとこっそりあんなことやこんなことしてさ(笑)
楽しかったし、気持ち良かったし…
今度は出来れば櫻井くんと…
…って、僕何考えてんの!
櫻井くんとはまだ(←ここ重要!)そんな関係じゃないし、今後そんな関係になれる可能性だって、全く無いわけじゃないだろうけど、ほぼほぼ無いに等しいってのに…
なのに有り得ない状況を想像して、熱くなってしまう僕のアイツ。
AVの仕事を始めてからこっち、性欲的なもんはかなり満たされてる感があったから、普段反応してしまうことは殆ど無かったんだけどな…
どうしてだろ…、櫻井くんの顔を思い浮かべただけで、僕のアイツはどんどん元気になって行く。
僕は若干熱めのシャワーを頭から浴びながら、そっとアイツに手を伸ばした。
「んっ…」
触れた瞬間に漏れそうになる声を、慌てて手で塞ぐ。
でも一旦動き始めた手だけは、どうしても止められなくて…
駄目だって分かってるのに…
我慢しなきゃって思ってるのに…
焦れば焦る程、アイツの熱は昇る一方で…
「ふっ…、ん…、ん…ぁっ…」
僕は上半身を全身を写す鏡にピタッとくっつけ身体を支えると、手の動きに合わせて腰を揺らし始めた。
他人の家のお風呂で何やってんだろ、って…
自分の馬鹿さ加減に辟易としながら…
でもその時!