第1章 いつものこと
「ただいま〜!」
声を上げるとリビングの方から足音を立てながら、白い毛並みと尻尾を揺らして迎えに来てくれる
「コォーン!」
「シュウ!!ただいまぁ〜!」
走ってきたロコンを抱き抱え、頬擦りをする。
この子はアローラの姿のロコン。
本来ならばこのガラル地方にはいないポケモンだが、昨年両親がアローラ地方に出かけた時に卵を手に入れ、それが私に渡った
他の手持ちのポケモンたちは、部屋にご飯の時以外はボールから出さない。
物を壊してしまうから部屋の中で留守番させられないので、シュウもボールの中に入れようとしたが、何回も何回も出てきてしまうので諦めて留守番させている
「………」
「……私の唯一の癒しなの!そんな目で見ないでくれない?」
「いや別に慣れてるしいいけどよ………オマエ、もう人と試合しないのか?」
「もー、何度も言ってるけど、やらないよ。今でも確かに野生ポケモンとかと、うちの子たちをトレーニングはさせてるけど試合のためにやってるわけじゃないの」
そう言いながらシュウを床に下ろす。
シュウはそのままトコトコ歩いていき、お気に入りのクッションの上に座り込んだ。
「……ま、いいけどよ。それより夕飯食おうぜ」
「惣菜でも買って食べなさいよ」
「嫌だね。作ってくれるモノがいるから必要ねーの」
「はぁーー?モノじゃないんですけど!」
いつものやりとりをしながら私は自室に向かう。
これから仕事着から着替えて、夕飯を作る。その間にキバナはいつもと同じくキッチンのほうに向かい、食材を見て何を作らせるか決めにいった。
ついでに途中で買ったお酒を冷蔵庫に入れるように頼んだ。
冷蔵庫何入ってたかなー、最近食材を買いに行ってないから多分全然無い。
多分きのみサラダと、適当に味つけたパスタでも要求されるとみた!
着替えを終え、キバナに何を作るか聞くと「サラダと麺類」と言われた。「りょーかい」と言い、心の中で合ってた合ってたとガッツポーズをする。
最近の謎の遊び方がこれなので、言ったら馬鹿にされる。絶対に言わない
「オマエ酒買うとかどーしたんだよ」
「もの凄い嫌な客が来て、今日は飲むぞって思ってたの。そしたらあんたがいたんだけどね」
「オレ様の分は?」
「あるわけないわ」
なんて他愛のない会話をしながら、夕飯を作り始めた