第4章 昔の
「内面重視とは言ったものの、やっぱりイケメンであるに越したことはないと思うわけ!」
「結局かよ」
呆れたように横になりながら頬杖をついて言ってきたので、また鼻をつまんでやろうと思って手を伸ばしたけれど、流石に学んだのか呆気なく手を払われた。ムカついたので頭を軽く叩いてやった。
また軽く睨まれたけど無視して話を続ける
「色々考えたら前カレは対して顔良くなかったしクズだしケチで最悪だったので!理想を語ります!」
「理想ねぇ……」
あ、こいつ目が「無理無理」って言ってる。無理なのわかってるから理想なんですけど??
「そんなわけで、今度こそイケメンで高収入で、背が高くて、ポケモンにも私にも優しくて、気を遣ってくれて、ポケモン勝負も強くて、向上意識があって」
「あー!ストップストップストップ!!わかったから!」
慌てながら口を押さえつけてきたので、後ろに倒れてしまった。背もたれあってよかった……。というかキバナの手がでかいので口だけじゃなく鼻も塞いでいるので呼吸が非常に苦しい。
自分の手の大きさをわかってないのか?睨みつけようとしたけれど、片腕で顔を抑えているので顔が見えない。一体何がしたいんだこいつ。というか側から見たら押し倒してるようにしか見えないんじゃ……
流石に酸素の供給が低下してきたし、恥ずかしさが出てきたので気づかせるために彼の頭を軽く叩いた。
ようやく現状に気が付いたのか、勢いよく離れてくれた。
「っ、わりっ」
「ん……あー、苦しかった……。どしたの?理想まだあるけど」
「いや、わかったから……」
「……?変なの。あーあ、どこかにいないかなー!」
平生とは態度が違う彼に疑問を持ちながらも、すぐに意識は別へと移った。元カレの話やらなんやらでお酒が飲みたい!どうせまだキバナも帰らないし飲んじゃお
ボソリと彼が呟いているのも聞こえず、私はお酒を取りに冷蔵庫へ向かった。
ーーーーー
「……アイツ、わかってて言ってんのかよ……」
その“理想”が
目の前にいる人物が当てはまっていると思い浮かばない彼女に対して
モヤモヤとした怒りと同時に、安堵感に包まれた。
「オレさまだよ バーカ…」
その呟きは誰にも聞こえず