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BERKUT【PSYCHO-PASS】

第9章 File:9



あの後、何事もなかったかのように執務室に戻り征陸にカップを渡して自分の分もデスクに持っていった。
報告書関連の仕事は片付け、午後は外回りだ。その前にランチを取る。食べれるときに食べておかないと食い損ねる。狡噛は食堂でカレーを頼み空いている席に一人座った。はしっかり食べただろうか。そろそろ声が聞きたいと思っている自分がいる。様子を確認するのも兼ねて電話をかけた。だが呼び出し音がひたすら鳴るのみで応答がない。
昨晩はかなり疲れさせてしまったからまだ寝ているのかもしれない。好きなだけ寝かせてあげようとしてコールを切った。
するとタイミングを見計らったように宜野座が自慢の眼鏡を光らせてやってきた。


「おい、狡噛。佐々山から聞いたぞ!彼女ができたんだってな。」

なぜ自分ではなく佐々山に先に報告するのだとくどくど文句を垂れる宜野座。
佐々山にしてはあまり変な話に捻じ曲げなかったことだけは有り難いと思うことにした。

「相手はどんな女性なんだ?」

どんな女性かと言われると…

「何考えてるか分かんない奴、かな。」

「ミステリアス系か…なるほどな。」

随分と都合よく解釈されているなとおかしくなる。宜野座はその後もどこで出会ったや、どんな見た目かなど細かく聞いてきた。恐らく佐々山に対抗したいのだろう。自分の方が細部まで知っているぞと知らしめたいのだ。そういうところは昔からある。だが細かく伝えれば伝えるほど宜野座の中でピースが組み立てられていき、対象が明確化してくる。

「それって………お前が前に保護したという、確か…未成年だと思ったが…。」

宜野座はだんだんと眼鏡を曇らせていった。また何やらくどい説教のような文句が始まっている。
未成年に手を出してはいけないとか、避妊はしたのかとか煩くて適わない。

「お前未成年を弄んで、いざとなったら責任をとる覚悟はできているのか!?」

「責任?」

それは子供ができたら結婚しなければ面子が立たないという昔のしきたりの様なものを指しているだろうか。言われてみれば責任なんてそこまで感じてすらいない。彼女に子宮が存在していないせいだろうか。

「何もそこまで考えることはないんじゃないのか?」

「それじゃ無責任すぎるだろ!相手は無戸籍者でおまけに未成年だ。他に頼りもいないんだぞ。」

それは確かにその通りだ。
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