第8章 File:8
角度が変わり奥の壁を突く感触がはっきりと分かった。そこが行き止まりと分かっていてももっと先を求めてしまう。奥だけ何度も突き上げると限界が迫ってきた。
「、逝くぞ…」
更に速さを増して同じところを何度も攻める。肌が打ち付け合う音が激しくなり体液の混ざる音も大きくなる。その激しさに顔を歪めるが微かに見えたような気がしたがこちらに余裕がない。押し寄せる限界に狡噛は歯を食いしばった。波のように押し寄せたそれは熱となって外に放たれたのが分かる。ドクドク脈打つように何度も流れ出て、その度に背中が震えた。
互いの荒れた呼吸だけが部屋に残った。重なる肌は汗でベッタリと張り付いたよう。まだ呼吸の整わないに何度も口づけた。頑張った褒美のように優しいものだった。
は狡噛の背中にしがみつく様にして抱きしめた。まだ息は荒い。吐く息が首元で温かく籠もっている。狡噛にとってはこれだけでもう十分だった。彼女が決して無感情で相手をしたわけではないことがこの抱擁から伝わってくる。彼女の腕より力を込めて抱き締め返した。
「ねえ狡噛さん。」
「うん?」
腕の力を緩めて至近距離で顔を眺めた。呼吸は整い平常を取り戻していた。
「なんだか、最後に熱いものが流れてきたんです。あれって、なんですか?」
「知りたいのか?」
意地の悪そうな目に変わった狡噛を見ては目を丸くしていた。何が起きるのかと身構えている。自身をズルリと引き抜くとニヤリと笑って全身を彼女の顔の側まで移動させた。真下に自身との驚く顔の両方が見える。完全に征服欲が彼の中を支配していた。
「教えてやる。」
腰をの顔に落して彼女の口に先程よりいくらから縮んだそれを詰め込んだ。
は口いっぱいに広がる体液の生臭さに眉を顰めていた。だがそれも彼にとっては欲情の種の一つであり、構わず腰を上下させる。口内は戸惑いで溢れているがそれでも柔らかい舌に当たればまた大きくなった。次第に収まりきらなくなっていくがそれでも溢れさせることを許さず、喉の奥に進んでいく。は何度も嘔吐いて涙を浮かべていたがそれも堪らなく欲情させた。苦しみで歪んだ顔すら愛おしいと思う。すっかり元のサイズに戻ったそれを先程彼女に出し入れしたように口でもする。